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枕草子 原文全集「五月の菖蒲の/よく炊きしめたる薫物の/月のいと明きに」

著者名: 古典愛好家
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五月の菖蒲の

五月の菖蒲(さうぶ)の、秋冬すぐるまであるが、いみじうしらみ枯れてあやしきを、ひきをりあげたるに、そのをりの香ののこりてかかへたる、いみじうをかし。


よく炊きしめたる薫物の

よく炊きしめたる薫物の、昨日、一昨日、今日などは、わすれたるに、ひきあげたるに、煙ののこりたるは、ただいまの香よりもめでたし。


月のいと明きに

月のいと明きに、川をわたれば、牛のあゆむままに、水晶などのわれたるやうに、水のちりたるこそをかしけれ。
              
                  
                   
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・枕草子 原文全集「五月の菖蒲の/よく炊きしめたる薫物の/月のいと明きに」

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渡辺実 1991年「新日本古典文学大系 枕草子・方丈記」岩波書店
松尾聰,永井和子 1989年「完訳 日本の古典 枕草子」小学館
萩谷朴 1977年「新潮日本古典集成 枕草子 下」 新潮社

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