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枕草子 原文全集「古代の人の/十月十余日の」

著者名: 古典愛好家
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古代の人の

古代の人の、指貫着たるこそ、いとたいだいしけれ。前にひきあてて、まづ裾をみな籠め入れて、腰はうちすてて衣の前をととのへはてて、腰をおよびてとるほどに、うしろざまに手をさしやりて、猿の手ゆはれたるやうに、ほどきたてるは、とみのことにいでたつべくもみえざめり。


十月十余日の

十月十余日の、月のいとあかきにありきて見むとて、女房十五六人ばかり、みな濃き衣を上に着て、ひきかへしつつありしに、中納言の君の、くれなゐのはりたるを着て、頸(くび)より髪をかきこし給へりしが、あたらしきそとばに、いとよくも似たりしかな。雛(ひひな)のすけとぞ、若き人々つけたりし。後(しり)にたちて笑ふもしらずかし。



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・枕草子 原文全集「古代の人の/十月十余日の」

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渡辺実 1991年「新日本古典文学大系 枕草子・方丈記」岩波書店
松尾聰,永井和子 1989年「完訳 日本の古典 枕草子」小学館
萩谷朴 1977年「新潮日本古典集成 枕草子 下」 新潮社

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