複素数の範囲で2次式を因数分解
解と係数の関係より、
2次方程式"ax²+bx+c=0"の2つの解を"α"と"β"としたとき、

がわかりました。これを用いて、"ax²+bx+c=0"の左辺を因数分解する方法をみていきましょう。"ax²+bx+c=0"の左辺を変形していきます。
より
以上のことから、次のことがいえます。
2次方程式"ax²+bx+c=0"の2つの解を"α"と"β"としたとき、"ax²+bx+c=0"の左辺は、
"ax²+bx+c=a(x−α)(x−β)"
と変形することができる。
この考え方は、
αとβが虚数解であっても同じで、因数分解することが難しい2次式を因数分解したいときに有効です。
練習問題
次の2次式を因数分解してみましょう。
(1) x²+2x+3
(2) 2x²+6
■(1) x²+2x+3
"x²+2x+3"は簡単には因数分解できなさそうなので、 "x²+2x+3=0"としてこの2次方程式を満たすxの値を求める作戦で解いていきましょう。
解の公式を用いて答えを求めます。
"ax²+bx+c=0"の2つの解をαとβとしたとき、
"ax²+bx+c=a(x−α)(x−β)"
と変形できるので、"x²+2x+3=0"において、a=1、α=−1+√2 i、β=−1−√2 i(αとβは逆でもかまいません)を"a(x−α)(x−β)"に代入すると、
x²+2x+3=(x+1−√2 i)(x+1+√2 i)
と因数分解できますね。
■(2) 2x²+6
"2x²+6"も簡単には因数分解できなさそうなので、"2x²+6=0"として、この2次方程式を満たすxの値を求めていきましょう。
以上のことから、a=2、α=√3 i、β=−√3 i(αとβは逆でもかまいません)を"a(x−α)(x−β)"にあてはめます。
2x²+6=2(x−√3 i)(x+√3 i)
と因数分解できます。