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9_80 文章の読み解き / 文章の読み解き

高校古文『熟田津に船乗りせむと月待てば潮もかなひぬ今は漕ぎ出でな』意味・現代語訳と品詞分解

著者名: 走るメロス
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「熟田津に船乗りせむと月待てば潮もかなひぬ今は漕ぎ出でな」現代語訳と解説

このテキストでは、額田王が詠んだ歌で、万葉集に収録されている「熟田津に船乗りせむと月待てば潮もかなひぬ今は漕ぎ出でな」の原文、わかりやすい現代語訳・口語訳と解説、そして品詞分解を記しています。




万葉集とは

万葉集は、奈良時代末期に成立したとみられる日本に現存する最古の和歌集です。平成の次の元号である「令和」(2019年5月1日〜)の由来となった『梅花の歌三十二首并せて序』をはじめ、天皇や貴族、役人や農民など様々な身分の人々が詠んだ4500以上の歌が収録されています。


原文

熟田津に 船乗りせむと 月待てば 潮もかなひぬ 今は漕ぎ出でな


ひらがなでの読み方

にきたつに ふなのりせむと つきまてば しほもかなひぬ いまはこぎいでな


現代語訳(口語訳)

熟田津で船に乗ろうと月が出るのを待っていると、潮の流れも(船出の条件と)合致した。さぁ、今こそ漕ぎ出そう。



解説・鑑賞のしかた

この歌は、額田王(ぬかたのおおきみ)が詠んだ歌です。(斉名天皇が詠んだのではないかという説もあります。)額田王は王とついていますが女性です。熟田津(にきたつ)とは地名のことです。正確にどこなのかはわかっていませんが、愛媛県の道後温泉あたりなのではないかと言われています。この歌が詠まれたときの情景を説明しておきましょう。

この歌が詠まれたのは、白村江の戦いと呼ばれる戦いの時期です。この戦いは朝鮮半島で当時勢力を持っていた国々の争いです。高句麗百済新羅任那の4カ国がありました。日本は任那を通して朝鮮半島で一定の力をもっていたのですが、この戦いのために日本からわざわざ出兵をしました。熟田津でちょっと旅の疲れをいやして、「さぁ出発だ!」というときに詠まれたのがこの歌です。

品詞分解

※名詞は省略しています。



熟田津
格助詞
船乗り
サ行変格活用・未然形
意志の助動詞
格助詞
待てタ行四段活用・已然形
接続助詞
係助詞
かなひハ行四段活用・連用形
完了の助動詞・終止形
係助詞
漕ぎ出でダ行下二段活用・未然形
意志・願望の終助詞



著者情報:走るメロスはこんな人

学生時代より古典の魅力に取り憑かれ、社会人になった今でも休日には古典を読み漁ける古典好き。特に1000年以上前の文化や風俗をうかがい知ることができる平安時代文学がお気に入り。作成したテキストの総ページビュー数は1,6億回を超える。好きなフレーズは「頃は二月(にうゎんがつ)」や「月日は百代の過客(くゎかく)にして」といった癖のあるやつ。早稲田大学卒業。
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全訳読解古語辞典 第四版 三省堂
ベネッセ全訳古語辞典 改訂版 Benesse
『教科書 国語総合 古文編』 教育出版
佐竹昭広、前田金五郎、大野晋 編1990 『岩波古語辞典 補訂版』 岩波書店

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