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百人一首『田子の浦にうち出でてみれば白妙の富士の高嶺に雪は降りつつ』現代語訳と解説(枕詞・品詞分解) |
著作名:
走るメロス
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百人一首(4)
田子の浦に うち出でてみれば 白妙の 富士の高嶺に 雪は降りつつ
このテキストでは、百人一首に収録されている歌「田子の浦にうち出でてみれば白妙の富士の高嶺に雪は降りつつ」の現代語訳・口語訳と解説(枕詞など)、そして品詞分解を記しています。この歌は、百人一首の他に、新古今和歌集にも収録されています。
原歌は、万葉集に収録されている以下の歌です。
※百人一首は、平安時代末期から鎌倉時代初期にかけて活動した公家・藤原定家が選んだ和歌集です。100人の歌人の和歌を、1人につき1首ずつ選んで作られています。
原文
(※1)田子の浦に うち出でてみれば (※2)白妙の 富士の高嶺に 雪は降りつつ
ひらがなでの読み方
たごのうらに うちいでてみれば しろたへの ふじのたかねに ゆきはふりつつ
現代語訳
田子の浦に出て見ると、真っ白に、富士山の高い峰に雪が降っていることだよ。
解説・鑑賞のしかた
この歌は、奈良時代の歌人山部赤人(やまべのあかひと)が詠んだものです。ちなみに山部赤人は三十六歌仙の一人で、柿本人麻呂と共に歌聖と呼ばれました。(※柿本人麻呂のみを歌聖とするなど諸説あり)
原歌の「田子の浦ゆうち出でてみれば真白にそ」(田子の浦を通って視界の開けたところまで出て見ると、真っ白に、富士山の高い峰に雪が降り積もっていることだよ。)からは、視界が開けた瞬間に、雪が真っ白に降り積もった富士山が目の前に現れた興奮や感動を感じ取ることができます。しかし「田子の浦にうち出でてみれば白妙の富士の高嶺に雪は降りつつ」(田子の浦に出て見ると、真っ白に、富士山の高い峰に雪が降っていることだよ。)からは、そのような力強さを感じることができません。その理由として
①雪の白さを表す「真白」というダイレクトな表現が、「白妙」という比喩表現に置き換えられたこと。
②実際に目にして頭の中に残っていたイメージを「雪は降りける」(雪が降り積もっていることだよ)と表現していたものが、「雪は降りつつ」(雪が降っていることだよ)という表現に置き換えられたことで、原歌に比べてより抽象的なイメージが強まったこと。
などがあげられます。
主な技法・単語・文法解説
■単語
(※1)田子の浦 | 現在の田子の浦は、静岡県富士市の田子の浦。歌が詠まれた時代の田子の浦は、現在の静岡県静岡市の由比付近と考えられる。 |
■(※2)枕詞
枕詞。白妙で衣服を作っていたことから、「白妙の」は「衣」の枕詞として用いられるが、「富士」に係る枕詞とする説もある。いずれにせよ、富士に積もった雪の白さを表している。
■句切れ
句切れなし。
品詞分解
※名詞は省略しています。
田子の浦 | ー |
に | 格助詞 |
うち出で | ダ行下二段活用「 うちいづ」の連用形 |
て | 接続助詞 |
みれ | マ行上一段活用「みる」の已然形 |
ば | 接続助詞 |
白妙の | 「白妙」+格助詞「の」。富士にかかる枕詞という説も。 |
富士 | ー |
の | 格助詞 |
高嶺 | ー |
に | 格助詞 |
雪 | ー |
は | 係助詞 |
降り | ラ行四段活用「ふる」の連用形 |
つつ | 「反復・継続」の接続助詞 |
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