「あらまし」の意味・使用例
このテキストでは、古文単語「あらまし」の意味、解説とその使用例を記している。
「あらまし」には
①
あらまし(名詞・副詞)
②
荒らまし(形容詞)
③
有らまし(連語)
などの用法がある。
①あらまし
名詞・副詞
■意味1
予期、計画、願望、心づもり。
[出典]:
今日はそのことをなさんと思へど 徒然草
「かねての
あらまし、皆違ひ行くかと思ふに、おのづから、違はぬ事もあれば、いよいよ、物は定め難し。」
[訳]:前からの予測が、すべて(予測と)一致しないでいくのかと思うと(そうとも限らず)、たまには、(予測と)一致することもあるので、ますます、物事は決めることが難しい。
■意味2
あらすじ、概略、一部始終。
[出典]:好色一代男
「ちかぢか訪ねて、無事のあらましを聞かせ申すべし。」
[訳]:近いうちに訪れて、無事(であったこと)の一部始終をお聞かせ申し上げましょう。
■意味3
だいたい、おおよそ。
※この用法の場合「あらましに」の形で用いられることが多く、副詞と考えることもある。
[出典]:世間胸算用
「すでにその年の大晦日に、あらましに正月の用意をして...」
[訳]:すでにその年の大晦日に、だいたい正月の用意をして...
②荒らまし
形容詞・シク活用
■意味
荒々しい、乱暴である、険しい。
[出典]:橋姫 源氏物語
「いとあらましき風の競ひに...」
[訳]:たいそう荒々しい風の競争によって...
③有らまし
連語
■意味
~であればいいのに、そうあったらよいのに。
[出典]:万葉集
「神風の伊勢の国にもあらましをなにしか来けむ...」
[訳]:伊勢の国にいればよかったのに(私は)どうして(京都に)来たのだろうか...