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古文単語「むかふ/向かふ/対ふ」の意味・解説【ハ行四段活用/ハ行下二段活用】

著者名: 走るメロス
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むかふ/向かふ/対ふ

このテキストでは、古文単語「むかふ/向かふ/対ふ」の意味、活用、解説とその使用例を記している。

※「むこふ」とも。

「むかふ」には、
①ハ行四段活用
②ハ行下二段活用
の用法がある。

①ハ行四段活用

未然形むかは
連用形むかひ
終止形むかふ
連体形むかふ
已然形むかへ
命令形むかへ


意味1:自動詞

向き合う、対座する

[出典]これも仁和寺の法師 徒然草
「医師のもとにさし入りて、向かひゐたりけむありさま、さこそ異様なりけめ。」

[訳]:医者の所(家の中)に入って、(医者に)向かって座っていたであろう有様は、さぞかし風変わりであっただろう。


意味2:自動詞

向かう、進む、出向く、おもむく

[出典]ある人、弓射ることを習ふに 徒然草
「ある人、弓射ることを習ふに、諸矢をたばさみて、的に向かふ。」

[訳]:ある人が、弓を射ることを習うのに、二本の矢を手にはさんで持って、的に向かいます。




意味3:自動詞

はむかう、敵対する

[出典]:願書 平家物語
「蟷螂の斧をいからして、隆車にむかふがごとし。」

[訳]:かまきりが鎌をふりかざして、大きな車にはむかうようなものです。


意味4:自動詞

肩を並べる、匹敵する、相当する

[出典]:伊勢物語
「千々の秋一つの春にむかはめや紅葉も花もともにこそ散れ」

[訳]:千の秋は一つの春に匹敵するでしょうか、いやしません。(しかし)紅葉も桜の花も同じように散るのです。




②ハ行下二段活用

未然形むかへ
連用形むかへ
終止形むかふ
連体形むかふる
已然形むかふれ
命令形むかへよ


意味1:他動詞

向かい合わせる、向けさせる、対面させる

[出典]:蜻蛉日記
「川のかたに車むかへ...」

[訳]:川の方に車(牛車)を向けさせて...


意味2:他動詞

敵対させる、はむかわせる

[出典]:額打論 平家物語
「北京には興福寺にむかへて、延暦寺の額をうつ。」

[訳]:北では興福寺に敵対させて、延暦寺の額を掛ける。




意味3:他動詞

おもむかせる、向かわせる、出向かせる

[出典]:烽火之沙汰 平家物語
「入道がもとへ討手なんどやむかへんずらん。」

[訳]入道(平清盛)のところへ追手などを出向かせようとするだろうか。

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全訳読解古語辞典 第四版 三省堂
ベネッセ全訳古語辞典 改訂版 Benesse

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