なにとなし/何と無し
連語
代名詞「なに」と格助詞「と」、そして形容詞「なし」が一語になったもの。
■意味1
たいしたことはない、どうということもない。
[出典]:
忠度の都落ち 平家物語
「ことの体、
何となうあはれなり」
[訳]:その(対面の)様子は、
これということもなくしみじみとしています。
※「何となう」は「何となく」のウ音便。
■意味2
すべてに渡っている、特定のものに限らず。
[出典]:花は盛りに 徒然草
「何となく葵懸け渡してなまめかしきに...」
[訳]:すべてに渡って葵(の葉)を一面にかけて優雅なところに...
■意味3
なんとなく、特別な意図や理由があるわけではなく。
[出典]:枕草子
「霧も霞も隔てぬ空のけしきの、なにとなくすずろにをかしきに...」
[訳]:霞にも霧にも遮らない空の様子が、何となくわけもなく趣があるが...