仏教とは
仏教というのは、紀元前5世紀ころ、インドにおいて
ガウタマ=シッダールタが創始した宗教です。
八正道の実践を通じて、輪廻転生からの解脱を目指し、カースト制度を否定したことで、さまざまな階層の人々に信仰されます。
その後仏教は、インドの様々な王朝に保護され、急速に信者を増やしていきました。
インドで仏教が衰退した理由
このように、拡大を続けた仏教ですが、13世紀を境に、インドから姿を消してしまいます。
その理由はさまざまですが、大きく分けて4つ考えられます。
保護王朝の滅亡
仏教は
マウリヤ朝アショーカ王を始めとする王たちによって丁重に保護されますが、ハルシャ=ヴァルダナが創始した
ヴァルダナ朝の滅亡以降、東インドのパーラ朝を最後に仏教の後ろ盾となる王朝は現れませんでした。
ヒンドゥー教の拡大と信者の吸収
古代インドから継承されたヴェーダを聖典とする
バラモン教を中心に、インド各地の土着の民俗信仰と仏教の影響を受けて成立したのが
ヒンドゥー教でした。ヒンドゥー教は、各地の民俗信仰が融合して成立したという背景から、インドの人々の生活に密着した宗教となっていきました。
民衆との乖離
仏教は5〜6世紀ころから、神秘主義の
秘密仏教としての性格が強くなり、僧侶は難解な教理の研究に重点を置き、民衆の教化を熱心に行わなくなっていきます。こうした状況から、仏教は、一般民衆の生活からどんどん離れていきました。他方で都市経済の衰退が主な信者だった商人層の没落を促し、これらの理由によって、ヒンドゥー教に信者が吸収されていったのです。
イスラム教の圧迫
ヴァルダナ朝の滅亡後、北インドの地域は、多数の王国が乱立する
ラージプート時代を迎えます。
このラージプート時代以降、11世紀から、外敵のイスラム勢力がインドに侵入してきます。この侵入をきっかけに、イスラム教徒がさまざまな僧院を破壊したため、仏教は急速に衰退していきます。