「いたづらなり/徒らなり」の意味・活用・使用例【形容動詞ナリ活用】
このテキストでは、ナリ活用の形容動詞「
いたづらなり/徒らなり」の意味、活用、解説とその使用例を記している。
形容動詞・ナリ活用
未然形 | いたづらなら | ◯ |
連用形 | いたづらなり | いたづらに |
終止形 | いたづらなり | ◯ |
連体形 | いたづらなる | ◯ |
已然形 | いたづらなれ | ◯ |
命令形 | いたづらなれ | ◯ |
■意味1
役に立たない、無駄である。
[出典]:
亀山殿の御池に 徒然草
「多くの銭を賜ひて、数日に営み出だして、掛けたりけるに、おほかた廻らざりければ、とかく直しけれども、つひに回らで、
いたづらに立てりけり。」
[訳]:多くの金銭をお与えになって、数日かけてこしらえあげて、(水車を川に)かけたところ、まったくまわらなかったので、あれこれと直してみたけれど、最後までまわることはなく、(水車は)
むだに立っているだけであった。
■意味2
むなしい、はかない。
[出典]:古今和歌集・
百人一首 小野小町
「花の色は移りにけりな
いたづらにわが身世にふるながめせしまに」
[訳]:花の色は色あせてしまったことよ、長雨が降り続く間に。
むなしく私もこの世で月日を過ごしてしまった、物思いにふけっている間に。
■意味3
することがない、暇である。
[出典]:土佐日記
「舟も出さでいたづらなれば、ある人の詠める」
[訳]:船も出さないですることがないので、ある人が詠んだ(歌)。
■意味4
場所が空いている様、何もない。
[出典]:徒然草
「少しの地もいたづらに置かんことは、益なき事なり。」
[訳]:少しの土地でも、空いたままにしておくことは、無益なことである。