初めての内閣制度
江戸時代が終わり、明治維新を経て、
新しい日本政府/日本で始めての内閣制度が誕生しました。
そもそも内閣とは、政治を行う機関のことで、いわゆる大臣の集まりです。
そのときの大臣の種類とその役割について説明します。
■内閣総理大臣
内閣の総責任者であり、国の顔ともいえるポストです。
初代内閣総理大臣は長州藩出身の
伊藤博文です。
■外務大臣
主に外交を司る大臣です。初代外務大臣は、
鹿鳴館を建設し不平等条約の改正に務めた
井上馨です。
■内務大臣
初代内務大臣は
山縣有朋が努めました。
副内閣総理大臣ぐらいの権力があり、外務・大蔵・司法文部各省を除く内政のほとんどに責任を負っていました。現在は廃止されていますが、内閣総理大臣と兼任することが多々ありました。
山縣有朋や松方正義、
桂太郎などが総理大臣と内務大臣を兼務しています。
■大蔵大臣
現在の財務大臣にあたるポストで、財政やお金に関することを担当する大臣です。
初代大蔵大臣は
松方正義でした。松方は
松方財政と呼ばれるインフレ財政政策をとったことでも知られています。
■司法大臣
現在の法務大臣にあたり、山田顕義が初代司法大臣でした。国の法務に責任をもつポストです。
山田顕義は日本の商法・民法の編纂に携わりました。
■文部大臣
現在の文部科学大臣にあたり、教育・文化などに権限をもつ大臣です。
初代文部大臣は薩摩藩出身の
森有礼です。
■農商大臣
農業・商業の育成を図る大臣で、現在の農林水産大臣にあたります。
土佐藩出身の
谷 干城が初代大臣です。谷は新選組の戦後処理に関わった人物です。
■逓信大臣
逓信(ていしん)大臣は現在の総務大臣にあたります。しかし当時の業務内容は、郵便通信に
関する業務が大半を占めていました。初代逓信大臣は幕臣(徳川幕府出身)の
榎本武揚です。
榎本武揚は
戊辰戦争のクライマックス函館五稜郭の戦いに至るまで、新政府に反抗をした人物ですが、その才能をかわれての大抜擢でした。
■陸軍大臣
陸軍の総責任者です。現在日本では軍を持つことを禁じていますので、このポストはありません。
初代陸軍大臣は薩摩出身の
大山巌。日露戦争で活躍した東郷平八郎と並んで、陸の大山、海の東郷と称されたほどの軍人でした。
■海軍大臣
海軍の総責任者です。陸軍大臣と同じく現在は廃止されているポストです。
初代海軍大臣は
西郷従道(さいごうつぐみち)、
西郷隆盛の弟です。
■宮内大臣
天皇や皇室の世話をするための機関の大臣です。
大臣ではあるのですが、政治に参加することはありませんでした。
こうしてみてみると、
榎本武揚以外が、薩長土肥の出身であることがあります。そして第2次世界大戦が始まるまでの内閣の一覧をみてみると、彼らがポジションを変えて何度も登場してくる、そして彼らの派閥から新しい大臣が登場している。
いかに
薩長土肥が開国後の日本に影響を与えたかがよくわかりますね。