とぶらふ/訪ふ/弔ふ
このテキストでは、ハ行四段活用の動詞「
とぶらふ/訪ふ/弔ふ」の意味、活用、解説とその使用例を記しています。
ハ行四段活用
未然形 | とぶらは |
連用形 | とぶらひ |
終止形 | とぶらふ |
連体形 | とぶらふ |
已然形 | とぶらへ |
命令形 | とぶらへ |
※(一)「訪ふ」と(ニ)「弔ふ」とでは意味が異なる。
(一)「訪ふ」
■意味1:他動詞
見舞う。
[出典]:
絵仏師良秀 宇治拾遺物語
「『あさましきこと。』とて、人ども来と
ぶらひけれど、騒がず。 」
[訳]:「大変なことですね。」と言って、人々が
見舞いに来たのですが、(良秀は)動じていません。
■意味2:他動詞
質問する、尋ねる。
[出典]:古今和歌集
「秋の野に人まつ虫の声すなり我かと行きていざとぶらはむ」
[訳]:秋の野で人を待つ松虫の音が聞こえる。私を待っているのかと、出かけて行って、さあ、尋ねてみよう。
■意味3:他動詞
訪問する、訪れる。
[出典]:
伊勢物語
「...本意にはあらで、心ざし深かりける人行き
とぶらひけるを... 」
[訳]:...(最初は)本心ではなかったのですが、(次第に)深く心を寄せていった人が
訪れていましたが...
■意味4:他動詞
探す。
[出典]:
祗園精舎 平家物語
「遠くの異朝を
とぶらへば...」
[訳]:遠く外国(の例)を
探すと...
(ニ)「弔ふ」
■意味1:他動詞
弔問する。
[出典]:源氏物語 紫式部
「後のわざなどにもこまかにとぶらはせたまふ。 」
[訳]:(桐壺の更衣の)死後の法事などにも(帝は)念入りに(使者を)弔問させなさる。
■意味2:他動詞
供養する、冥福を祈る。
[出典]:平家物語
「父母の後世を弔ひ給ふれぞ哀れなる。」
[訳]:父母の死後の冥福をお祈りなさる姿は気の毒なことです。