蜻蛉日記『町の小路の女・うつろひたる菊』
このテキストでは、
蜻蛉日記の一節『
町の小路の女』の「さて、九月ばかりになりて、出でにたるほどに〜」から始まる部分の品詞分解を記しています。書籍によっては『うつろひたる菊』や『なげきつつひとり寝る夜』と題するものもあるようです。
※蜻蛉日記は平安時代の女流日記です。作者は
藤原道綱母(ふじわらのみちつなのはは)で、夫であった藤原兼家との結婚生活の様子などがつづられた作品です。
品詞分解
※名詞は省略しています。
■さて、九月ばかりになりて、出でにたるほどに、箱のあるを手まさぐりに開けて見れば、 人のもとに遣らむとしける文あり。
さて、 | 接続詞 |
九月 | ー |
ばかり | 副助詞 |
に | 格助詞 |
なり | ラ行四段活用・連用形 |
て、 | 接続詞 |
出で | ダ行下二段活用・連用形 |
に | 完了の助動詞・連用形 |
たる | 存続の助動詞・連体形 |
ほど | ー |
に、 | 格助詞 |
箱 | ー |
の | 格助詞 |
ある | ラ行変格活用・連体形 |
を | 格助詞 |
手まさぐり | ー |
に | 格助詞 |
開け | カ行下二段活用・連用形 |
て | 接続助詞 |
見れ | マ行上一段活用・已然形 |
ば、 | 接続助詞 |
人 | ー |
の | 格助詞 |
もと | ー |
に | 格助詞 |
遣ら | ラ行四段活用・未然形 |
む | 意志の助動詞・終止形 |
と | 格助詞 |
し | サ行変格活用・連用形 |
ける | 過去の助動詞・連体形 |
文 | ー |
あり。 | ラ行変格活用・終止形 |
■あさましさに見てけりとだに知られむと思ひて、書きつく。
あさましさ | ー |
に、 | 格助詞 |
「見 | マ行上一段活用・連用形 |
て | 完了の助動詞・連用形 |
けり | 過去の助動詞・終止形 |
と | 格助詞 |
だに | 副助詞 |
知ら | ラ行四段活用・未然形 |
れ | 受身の助動詞・未然形 |
む。」 | 意志の助動詞・終止形 |
と | 格助詞 |
思ひ | ハ行四段活用・連用形 |
て、 | 接続助詞 |
書きつく。 | カ行下二段活用・終止形 |
■「疑はしほかに渡せる文見ればここやとだえにならむとすらむ」など思ふほどに、むべなう、十月つごもりがたに、三夜しきりて見えぬときあり。
「疑はし | 形容詞・シク活用・終止形 |
ほか | ー |
に | 格助詞 |
渡せ | サ行四段活用・命令形 |
る | 完了の助動詞・連体形 |
文 | ー |
見れ | マ行上一段活用・已然形 |
ば | 接続助詞 |
ここ | 代名詞 |
や | 係助詞 |
とだえ | ー |
に | 格助詞 |
なら | ラ行四段活用・未然形 |
む | 推量の助動詞・終止形 |
と | 格助詞 |
す | サ行変格活用・終止形 |
らむ」 | 現在推量の助動詞・連体形 |
など | 副助詞 |
思ふ | ハ行四段活用・連体形 |
ほど | ー |
に、 | 格助詞 |
むべなう、 | 形容詞・ク活用・連用形のウ音便 |
十月 | ー |
つごもりがた | ー |
に、 | 格助詞 |
三夜 | ー |
しきり | ラ行四段活用・連用形 |
て | 接続助詞 |
見え | ヤ行下二段活用・未然形 |
ぬ | 打消の助動詞・連体形 |
とき | ー |
あり。 | ラ行変格活用・終止形 |
■つれなうて、「しばしこころみるほどに。」など気色あり。
つれなう | ク活用の形容詞「つれなし」の連用形のウ音便 |
て、 | 接続助詞 |
「しばし | 副詞 |
こころみる | マ行上一段活用・連体形 |
ほど | ー |
に。」 | 格助詞 |
など、 | 副助詞 |
気色 | ー |
あり。 | ラ行変格活用・終止形 |
【「つなれし」の意味は?】