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白居易『長恨歌』書き下し文・現代語訳と解説 その4

著者名: 走るメロス
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原文(白文)

含情凝睇謝君王
一別音容両渺茫
昭陽殿裏恩愛絶
蓬萊宮中日月長
迴頭下望人寰処
不見長安見塵霧
唯将旧物表深情
鈿合金釵寄将去
釵留一股合一扇
釵擘黄金合分鈿
但令心似金鈿堅
天上人間会相見

■書き下し文

情を含み睇(ひとみ)を凝らして君王に謝す
一別音容両(ふた)つながら渺茫(びょうぼう)たり
昭陽殿裏(しょうようでんり)恩愛(おんあい)絶え
蓬萊(ほうらい)宮中日月長し
頭(こうべ)を迴(めぐ)らして下人寰(しもじんかん)の処(ところ)を望めば
長安を見ずして塵霧(じんむ)を見る
唯だ旧物を将(もっ)て深情を表さんと
鈿合(でんごう)金釵(きんさい)寄せ将(も)ち去らしむ
釵は一股(いっこ)を留め合は一扇
釵(さい)は黄金を擘(さ)き合は鈿(でん)を分かつ
但だ心をして金鈿の堅きに似せしめば
天上人間(じんかん)会(かなら)ず相見(まみ)えんと

■現代語訳

(楊貴妃は)思いを込め、瞳を凝らして皇帝に謝辞を述べます。
お別れして以来、お声もお姿も遥かに遠ざかってしまいました。
昭陽殿で賜ったご寵愛も絶えなくなってしまい、
蓬萊宮の中で長い月日が流れました。
頭をめぐらせ、下界の人間の住む所を眺めてみても、
長安は見ることができずに、塵や霧が見えるばかりです。
ただ昔の(皇帝から頂いた思い出の)品によって深い気持ちを表そうと、
螺鈿の細工がほどこされた小箱と黄金のかんざしを、(使者に皇帝の所へ)持っていかせましょう。
黄金のかんざしは二股の一方を残し、小箱は(蓋か本体のどちらか)片方を残し、
黄金のかんざしは2つに裂き、小箱は蓋と本体に分けてしまいます。
ただ、二人の心の絆を金のかんざしや螺鈿細工の箱の堅さのようにしたのなら、
天上界と人間界とにわかれていても、必ずお会いできましょう。

■単語解説

音容声と姿
渺茫遥かに遠ざかる様
人寰人の住む所
会相見「会」は「きっと〜でしょう」と訳す


■押韻

「王、茫、長」、「処、霧、去」、「扇、鈿、見」がそれぞれ韻を踏んでいます。

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『教科書 高等学校 古典B 漢文編』 三省堂
鎌田正、米山寅太郎 著 2011 『新漢語林 第二版』大修館書店

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