大鏡『雲林院の菩提講』
ここでは、大鏡の中の『雲林院の菩提講(まめやかに世継が申さむと思ふことは〜)』の現代語訳を行っています。
原文(本文)
「
まめやかに世継が申さむと思ふことは、
ことごとかは。ただいまの入道殿下の御ありさまの、
よにすぐれておはしますことを、道俗男女の御前にて、申さむと思ふが、いとこと多くなりて、あまたの帝王・后、また、大臣・公卿の御上を続くべきなり。その中に、幸ひ人におはします、この御ありさま申さむと思ふほどに、世の中のことの隠れなくあらはるべきなり。」
現代語訳(口語訳)
「心をこめて(私)世継(おじいさんの名前)が申し上げようと思うことは、他のことではありません。現在の入道殿下(藤原道長)の御有り様が、大変すぐれていらっしゃることを、僧侶と俗人・男女の皆様の前で申そうとは思います。(しかし、お話することが)とても多く、(道長にかかわる)多くの帝や皇后、また、大臣や公卿の御身上について続けてお話しをしなければなりません。その中でも、(特に)幸福な人でいらっしゃる人(藤原道長)の、御有り様を申し上げようと思いますが、その話の中に、世の中のことが隠れることなく明らかになるはずです。」
品詞分解
品詞分解はこちら
大鏡『雲林院の菩提講(まめやかに世継が申さむと思ふことは〜)』の品詞分解
単語・文法解説
まめやかなり | 心をこめて |
ことごとかは | 他のことであろうか、いやそうではない。「かは」は反語の係助詞 |
よに | 副詞なので「大変」と訳す。「世に」としないように注意 |
道俗 | 出家した身の人と俗世間にいる人 |