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蜻蛉日記原文全集「かくて絶えたるほど」

著者名: 古典愛好家
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蜻蛉日記

かくて絶えたるほど

かくて絶えたるほど、わが家は内裏(うち)よりまゐりまかづる道にしもあれば、夜中あか月とうちしはぶきてうちわたるも、聞かじと思へども、うちとけたる寝(い)もねられず、夜ながうして眠ることなければ、さななりと見聞く心地はなににかはにたる。今はいかで見聞かずだにありにしがなとおもふに、昔すきごとせし人も、

「今はおはせずとか」


など、人につきて聞こえごつをきくをものしうのみおぼゆれば、日ぐれはかなしうのみおぼゆ。
                  
                 
              
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・蜻蛉日記原文全集「かくて絶えたるほど」

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長谷川 政春,伊藤 博,今西 裕一郎,吉岡 曠 1989年「新日本古典文学大系 土佐日記 蜻蛉日記 紫式部日記 更級日記」岩波書店
The University of Virginia Library Electronic Text Center and the University of Pittsburgh East Asian Library http://etext.lib.virginia.edu/japanese/

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