命題の対偶
命題「p⇒q」の
対偶は、「

」でした。そして
命題の対偶が真であれば、その命題は真となりましたね。(同じく対偶が偽であれば命題もまた偽でした)
この対偶の性質を利用して、命題が真(偽)であることを証明する問題についてみていきましょう。
「対偶が真なので与えられた命題は真だよ」という流れで証明をしていきます。
問題 整数nについて、対偶を利用して次の命題を証明しましょう。
[命題]「n²が奇数であれば、nは奇数である」
説明をしやすくするために、「n²が奇数」を条件p、「nは奇数である」を条件qとしましょう。つまりこの命題は、「p⇒q」となりますね。この命題を証明するために命題と対偶の関係を利用します。つまり「p⇒q」の対偶「

」が正しいかをチェックするということです。
■「nは奇数である」の否定
まず

をきちんと把握しましょう。
「nは奇数である」の否定は、「nは奇数ではない」すなわち「
nは偶数である」ですね。偶数nは、整数kを使って
n=2k
と表すことができます。
■「n²が奇数」の否定
次に

を考えていきます。
「n²が奇数」の否定は、「n²が奇数ではない」すなわち「
n²は偶数である」ですね。さきほどn=2kとしたので、n²はn=2kを代入して
n²=(2k)²=4k²=2(2k²)
kが整数なので、2k²も整数となります。つまり2(2k²)は偶数であるといえます。
以上のことから、「
nが偶数であれば、n²は偶数である」ことがわかりました。
対偶だ正しいことが証明できたので、もとの命題である「n²が奇数であれば、nは奇数である」も成り立つことが証明されました。