はじめに
このテキストでは、
新古今和歌集で詠まれている「
うちしめりあやめぞかをるほととぎす鳴くや五月の雨の夕暮れ」という歌について説明していきます。
原文
うちしめりあやめぞかをるほととぎす鳴くや五月の雨の夕暮れ
現代語訳(口語訳)
しっとりとした空気の中で菖蒲(しょうぶ)の香がする。ほととぎすの鳴く五月の雨が降る夕暮れどきよ。
解説・鑑賞のしかた
「あやめ」、「ほととぎす」はともに、初夏を感じさせるものとしてよく使われるキーワードです。五月雨が降った夕暮れに、だんだんと視界が暗くなる中で、菖蒲のよい香やほととぎすの鳴き声など、五感を使って初夏を感じている様子がうかがえます。
この歌は
二句切れの歌で、古今和歌集の
郭公(ほととぎす)鳴くや五月のあやめ草あやめも知らぬ恋もするかなという歌を本歌とした、
本歌取りの技法を用いています。
単語
うちしめり | 空気がしっかりと湿気を帯びている |
あやめぞかをる | 「ぞ~かをる」で係り結び |
雨の夕暮れ | 体言止め |
品詞分解
※名詞は省略しています。
うちしめり | ラ行四段活用・連用形 |
あやめ | ー |
ぞ | 係助詞 |
かをる | ラ行四段活用・連体形 |
ほととぎす | ー |
鳴く | カ行四段活用・連体形 |
や | 間接助詞 |
五月 | ー |
の | 格助詞 |
雨 | ー |
の | 格助詞 |
夕暮れ | ー |