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古文単語「まがふ/粉ふ」の意味・解説【ハ行四段活用/ハ行下二段活用】
著作名: 走るメロス
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「まがふ/粉ふ」の意味・活用・使用例【ハ行四段活用/ハ行下二段活用】

このテキストでは、古文単語「まがふ/粉ふ」の意味、活用、解説とその使用例を記しています。

※まがふ/粉ふには、
①ハ行四段活用
②ハ行下二段活用
の用法がある。
①ハ行四段活用

未然形まがは
連用形まがひ
終止形まがふ
連体形まがふ
已然形まがへ
命令形まがへ


意味1:自動詞

入り乱れる、入り交じる

[出典]:源氏物語 紫式部
「侍従をくゆらかして、物ごとに染めたるに、えひ香の香のまがへる、いと艶なり。」

[訳]:侍従をくすぶって、(部屋にある)物ごとに(香を)たきしめているのに加えて、えい香の香が入りまじっているのが、たいそう優美である。


意味2:自動詞

(「〜にまがふ」の形で)
区別がつかないほど似ている

[出典]須磨の秋・心づくしの秋風 源氏物語
「恋ひわびて泣く音にまがふ浦波は思ふ方より風や吹くらむ」

[訳]:恋しさ思い悩んで泣く音に浦波の音がよく似ているのは、(私のことを恋しく)思っている方角から(彼らの声をのせた)風が吹いてくるからでしょうか。




意味3:自動詞

見分けがつかなくなる

[出典]古今和歌集
「さくら花散りかひくもれ老いらくの来むといふなる道まがふがに」

[訳]:桜花よ、散り乱れて空を曇らせておくれ。老いというものがやってくるだろうと聞いている。その老いのやって来る道が花びらで紛れて見分けがつかなくなってしまうように


②ハ行下二段活用

未然形まがへ
連用形まがへ
終止形まがふ
連体形まがふる
已然形まがふれ
命令形まがへよ


意味1:他動詞

区別がつかなくする、見失う

[出典]:万葉集
「我が丘に盛りに咲ける梅の花残れる雪をまがへつるかも」

[訳]:私の丘に盛んに咲いている梅の花は、消え残っている雪との区別をつかなくしたことよ




意味2:他動詞

見間違える、聞き違える

[出典]二月つごもりごろに 枕草子
「空寒み花にまがへてちる雪に」

[訳]:空が寒いので、花と見間違えるかのように散る雪


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