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宗教改革(ルター、贖宥状、カルヴァン、イギリス国教会など) 受験対策問題 58 |
著作名:
レキシントン
30,696 views |
宗教改革で押さえておきたいポイント
※赤字部分が問題に出そうな部分です。赤色の暗記シートなどで隠して見てください。
贖宥状の販売とルターの改革
・カトリック教会は長らくヨーロッパの支配的な権力を有していたが、時代とともに腐敗や堕落、世俗化が進んでいった。こうした教会改革運動は、14世紀オクスフォード大学のウィクリフ、15世紀プラハ大学のフス、15世紀末フィレンツェのサヴォナローラなど改革者によって行われたが、すべて異端とされいずれも失敗に終わった。
・宗教改革の舞台となった16世紀のドイツは、領邦国家や教皇領、帝国都市が各地に成立し、中央集権化が遅れ分裂状態であった。こうした分裂状態のドイツは、教会組織を通じて様々な富が吸い上げられ、ローマ教皇庁の重要な財源となっていた。「ローマの牝牛」と呼ばれていたドイツの人々は、教会の搾取に不満をもっていたのである。
・こうした状況の中、メディチ家出身の教皇レオ10世は、バチカンにあるサン=ピエトロ大聖堂の建築費用を捻出するため、贖宥状(免罪符)の販売を許可した。
・贖宥状の販売に対する批判として、ヴィッテンベルク大学神学教授だったマルティン=ルターは、1517年九十五カ条の論題をヴィッテンベルク教会で発表し、ドイツ宗教改革がはじまった。
・ルターはその後、神学者ヨハン=エックとライプチヒで公開討論会を行い、その後『キリスト者の自由』を著し、異端として認識されるようになる。1521年、皇帝カール5世はルターをヴォルムスの国会に召喚し、自説の撤回を迫ったが、ルターはこれを拒否したため、法律の保護外に置かれた。
・危機に陥ったルターを保護したのが、反皇帝派の有力諸侯ザクセン選帝侯フリードリヒであった。フリードリヒのヴァルトブルク城に保護されたルターは、新約聖書のドイツ語訳を完成させ、信仰義認説と聖書第一主義を信条とするルター派が拡大していった。
・ドイツでは騎士戦争が勃発し、失敗に終わった。また、1524年にはトマス=ミュンツァーが指導者となったドイツ農民戦争が起こり、十二カ条要求が作成されたが、ルター派だった農民の反乱は最終的に領主側に鎮圧された。そのため、貧しい農民はルター派支持をとりやめた。
・こうした状況下でもルター派の拡大は続き、皇帝と対立するようになった。1529年皇帝はシュパイエルの国会においてルター派を禁止したが、これにルター派の諸侯や都市が抗議(protest)した。こうして新教はプロテスタントと呼ばれるようになった。
・他方でカトリックのローマ教皇は、スペイン王カルロス1世としてスペイン王も兼ねる神聖ローマ帝国皇帝カール5世のハプスブルク家の勢力拡大をよく思わず、フランス王フランソワ1世と結び、これに対抗した。フランソワ1世はハプスブルク家に対抗するため、オスマン帝国皇帝スレイマン1世とも同盟を結んだ。イタリアを巡るイタリア戦争(1494~1559)や、オスマン帝国の第1次ウィーン包囲などがおこり、1530年には反皇帝のシュマルカルデン同盟が成立し、シュマルカルデン戦争も勃発したため、ドイツ皇帝もルター派との妥協を探ることとなった。
・1555年にはアウグスブルクの宗教和議が成立し、ドイツ諸侯にカトリック派かルター派かを選択する権利が与えられたが、カルヴァン派や個人の信仰の自由は認められなかった。
スイスの宗教改革
・1523年には、チューリヒでツヴィングリが宗教改革運動を開始したが、ルターの協力を得ることができなかった。
・フランス出身の宗教改革者カルヴァンは、スイス北部のバーゼルで『キリスト教綱要』を出版し、その後ジュネーヴに招かれ、1541年以降市政を独占し、神政政治をおこなった。カルヴァンは福音主義と予定説を唱え蓄財を容認したため、新興市民階級の支持が拡大した。後世、ドイツの思想家マックス=ウェーバーは、『プロテスタンティズムの倫理と資本主義の精神』を著し、カルヴァン派と資本主義成立の関連性を説いている。
・カルヴァン派は長老制度によって運営され、ヨーロッパ各地に広まった。イギリスではピューリタン、スコットランドではプレスビテリアン、フランスではユグノー、ネーデルラントではゴイセンと呼ばれた。
イギリス国教会の成立
・イギリスでは、ばら戦争終結後に成立したテューダー朝により、中央集権化が進められ、絶対王政が成立した。イギリス国王ヘンリ8世は、スペイン出身のキャサリン妃を迎えたがその後離婚と侍女アン=ブーリンとの結婚を望んだ。しかし、神聖ローマ帝国皇帝カール5世の伯母であるキャサリンとの離婚をローマ教皇が承認しなかったため、ヘンリ8世は離婚を強行し、ローマ教会から破門された。
・ローマ教皇から破門されたヘンリ8世は、1534年に国王至上法(首長法)を発布し、イギリス国王を首長とするイギリス国教会を成立させた。この際、『ユートピア』の著者で、大法官だったトマス=モアは王の離婚に反対し、処刑されている。王はその後国内の修道院を解散して、その土地を新興市民階級に低価格で売り払い、支持を拡大した。
・次の王エドワード6世の時代に、一般祈禱(祈祷)書が制定され、教義が確立した。エドワードの死後、キャサリン妃の娘メアリ1世が即位すると、熱心なカトリック信者だった女王は新教徒を迫害し、ブラッディメアリーと呼ばれた。
・メアリ1世のあと即位したエリザベス1世は、1559年統一法を発布し、国教会の礼拝や祈祷の統一をはかり、イギリス国教会を確立した。
対抗宗教改革
・宗教改革の広がりにより危機感を覚えたカトリックでも、内部から対抗宗教改革(反宗教改革)が進められた。ヘンリ8世を破門した教皇パウルス3世は、トリエント公会議(1545~1563)を主催し、新旧両派の調停を図ったが、新教側が出席しなかったため、教皇の至上権とカトリック教義の再確認した。
・1534年には、スペインのイグナティウス=ロヨラらによりイエズス会が設立され、フランシスコ=ザビエルやマテオ=リッチら宣教師を海外に派遣した。また、宗教裁判や焚書目録、魔女狩りなども組織的に行われるようになり、各地で新旧両派の対立が続き、フランスのユグノー戦争、オランダ独立戦争、ドイツ三十年戦争など、凄惨な戦争がおこった。
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