やさし/優し
このテキストでは、シク活用の形容詞「
やさし/優し」の意味、活用、解説とその使用例を記している。
「やさし」には
①
恥し
②優し
などの用法があるが、ここでは「②優し」を扱う。
形容詞・シク活用
未然形 | やさしく | やさしから |
連用形 | やさしく | やさしかり |
終止形 | やさし | ◯ |
連体形 | やさしき | やさしかる |
已然形 | やさしけれ | ◯ |
命令形 | ◯ | やさしかれ |
■意味1
優美である、趣がある、上品でしとやかである。
[出典]:
那須野 奥の細道
「ちひさき者ふたり、馬の跡したひて走る。ひとりは小姫にて、名をかさねといふ。聞きなれぬ名の
やさしかりければ...」
[訳]:幼い者(子ども)が二人、馬のあとを追いかけて走る。一人は小さい女の子で、名前を"かさね"という。聞きなれない名前が
優美であったので...
■意味2
けなげである、感心である。
[出典]:実盛 平家物語
「『優しう申したるものかな。』」
[訳]:「けなげに申し上げたものだ。」
※「やさしう」は連用形「やさしく」のウ音便
■意味3
思いやりがある、情け深い。
■意味4
優美で繊細である。
※主に和歌で用いられる。