ききう/聞き得
このテキストでは、ア行下二段活用の動詞「
ききう/聞き得」の意味、活用、解説とその使用例を記している。
ア行下二段活用
未然形 | ききえ |
連用形 | ききえ |
終止形 | ききう |
連体形 | ききうる |
已然形 | ききうれ |
命令形 | ききえよ |
■意味:他動詞
聞きかじる、聞いて納得する、聞き分ける。
[出典]:
にくきもの 枕草子
「ものうらやみし、身の上嘆き、人の上言ひ、露塵のこともゆかしがり、聞かまほしうして、言ひ知らせぬをば怨じそしり、また僅かに
聞き得たることをば、わがもとより知りたることのやうに、異人にも語りしらぶるも、いとにくし。」
[訳]:何かにつけて人のことをうらやましがり、(自分の)身上を嘆き、他人について噂をし、ほんのわずかなことでも知りたがり、聞きたいと思って、話して知らせないことに恨みを言い非難し、また少し
聞きかじったことを、自分がはじめから知っていることのように、他の人にも得意げに話すのも、たいそうしゃくに障る。
備考
ア行◯◯活用となるのは、「
う/得」と、それを含む「心得」、「
待ち得」、「聞き得」などの複合の動詞だけである。