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古文単語「にくし/憎し」の意味・解説【形容詞ク活用】

著者名: 走るメロス
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にくし/憎し

このテキストでは、ク活用の形容詞「にくし/憎し」の意味、活用、解説とその使用例を記している。

形容詞・ク活用

未然形にくくにくから
連用形にくくにくかり
終止形にくし
連体形にくきにくかる
已然形にくけれ
命令形にくかれ


意味1

しゃくに障る、気にくわない、嫌だ

[出典]にくきもの 枕草子
「あなづりやすき人ならば、『後に。』とても、やりつべけれど、さすがに心はづかしき人、いとにくく、むつかし。」

[訳]:容易に見下げることができる人ならば、「後で。」と言ってでも、帰してしまうことができそうだが、そうはいってもやはり(相手が立派で)気がひける人であれば、(さすがにそうもできず)ひどくしゃくに障り、不快だ。


意味2

見苦しい、体裁が悪い、不格好だ、醜い

[出典]:伊尹 大鏡
「桜の花は、優なるに枝差しのこはごはしく、幹のやうなどもにくし。」

[訳]:桜の花は、優美であるが枝はごつごつしていて、幹の様子は不格好である




意味3

無愛想だ

[出典]:故殿の御服の頃 枕草子
「『誰ぞ。』とにくからぬ気色にて問ひたまふは...」

[訳]:「誰ですか。」と無愛想ではない様子でお尋ねになっているのですから...


意味4

難しい、奇妙だ

[出典]:紅葉賀 源氏物語
「保曽呂倶世利といふものは、名はにくけれど...」

[訳]:保曽呂倶世利というもの(曲)は、名前は奇妙であるけれど...




意味5

(こちらがしゃくに障るほど優れているという意味から転じて)
あっぱれだ、関心だ

[出典]:古活字本保元
憎い剛の者かな。」

[訳]あっぱれな勇者であることよ。

※「にくい」は連体形「にくき」のイ音便。


意味6

(〜するのが)つらい、〜しにくい

※この用法の場合、動詞の連用形について用いられる。
[出典]:桐壷 源氏物語
「いと立ち離れにくき草のもとなり。」

[訳]:とても立ち去りがたい庭の風情である。

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全訳読解古語辞典 第四版 三省堂
ベネッセ全訳古語辞典 改訂版 Benesse

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