いたむ/痛む/傷む
このテキストでは、古文単語「
いたむ/痛む/傷む」の意味、活用、解説とその使用例を記している。
「いたむ/痛む/傷む」には、
①マ行四段活用
②マ行下二段活用
の用法がある。
①マ行四段活用
未然形 | いたま |
連用形 | いたみ |
終止形 | いたむ |
連体形 | いたむ |
已然形 | いため |
命令形 | いため |
■意味1:自動詞
痛む、痛みを感じる。
[出典]:発心集
「頭痛み、ここちあしく...」
[訳]:頭が痛み、気分が悪く...
■意味2:自動詞
悲しむ、嘆く。
[出典]:
或者、子を法師になして 徒然草
「一事を必ず成さんと思はば、他の事の破るるをも
傷むべからず、人の嘲りをも恥づべからず。」
[訳]:ひとつのことを必ず成し遂げようと思うのであれば、その他のことが途中で成り立たなくなるのをも
嘆いてはならないし、人が馬鹿にすることをも恥じてはいけない。
■意味3:自動詞
迷惑がる、苦にする。
[出典]:永秀法師、数奇のこと 発心集
「かしかましさにたへぬ隣り家、やうやう立ち去りて後には、人もなくなりにけれど、さらにいたまず。」
[訳]:(笛の)やかましさに耐えられない隣の家(の人は)、次第に立ち去ったあとには、人もいなくなってしまったが、(永秀法師は)一向に苦にしない。
■意味4:自動詞
傷つく、損なわれる。
[出典]:烽火之沙汰 平家物語
「『...ふたたび実なる木は、その根必ずいたむ。』と見えて候。」
[訳]:「...年に二度実のなる木は、その根が必ず傷つく。」と言われております。
②マ行下二段活用
未然形 | いため |
連用形 | いため |
終止形 | いたむ |
連体形 | いたむる |
已然形 | いたむれ |
命令形 | いためよ |
■意味1:他動詞
痛めつける、傷つける。
[出典]:雅房大納言は 徒然草
「生ける物を殺し、傷め...」
[訳]:生きる物を殺し、痛めつけ...