わかし/若し
このテキストでは、ク活用の形容詞「
わかし/若し」の意味、活用、解説とその使用例を記している。
形容詞・ク活用
未然形 | わかく | わかから |
連用形 | わかく | わかかり |
終止形 | わかし | ◯ |
連体形 | わかき | わかかる |
已然形 | わかけれ | ◯ |
命令形 | ◯ | わかかれ |
■意味1
幼い、若年である。
[出典]:
姨捨 大和物語
「信濃の国に更級といふ所に、男住みけり。
若き時に親死にければ、をばなむ親のごとくに、若くより添ひてあるに...」
[訳]:信濃の国の更級という所に、男が住んでいました。(男が)
幼いときに親が死んでしまったので、伯母が親のようにして、(彼の)幼いときから付き添っていましたが...
■意味2
あどけない、子どもっぽい、未熟だ。
[出典]:夕顔 源氏物語
「物をいとおそろしと思ひたるさま、若う心苦し。」
[訳]:何かをとても恐いと思われている様子が、子どもっぽくいじらしい。
※「若う」は連用形「若く」のウ音便。
■意味3
若々しい、みずみずしい、生気に満ち溢れている。
[出典]:
検非違使忠明のこと 宇治拾遺物語
「これも今は昔、忠明といふ検非違使ありけり。それが
若かりける時、清水の橋のもとにて京童部どもといさかひをしけり。」
[訳]:今となっては昔の話ですが、忠明という検非違使(けびいし)がいました。それ(忠明)が
若かった頃、清水寺の橋のたもとで京都童たちとけんかをしました。