やすらかなり/安らかなり
このテキストでは、ナリ活用の形容動詞「
やすらかなり/安らかなり」の意味、活用、解説とその使用例を記している。
形容動詞・ナリ活用
未然形 | やすらかなら | ◯ |
連用形 | やすらかなり | やすらかに |
終止形 | やすらかなり | ◯ |
連体形 | やすらかなる | ◯ |
已然形 | やすらかなれ | ◯ |
命令形 | やすらかなれ | ◯ |
■意味1
心配がなく気楽である、平穏である。
[出典]:宮に初めて参りたるころ 枕草子
「馴れ安らかなるを見るも、いとうらやまし。」
[訳]:(他の女房たちが給仕に)慣れて心配がなく気楽であるのを見るのも、とてもうらやましい。
■意味2
簡単である、容易である、たやすい。
[出典]:
亀山殿の御池に 徒然草
「さて、宇治の里人を召して、こしらへさせられければ、
やすらかに結ひて参らせたりけるが...」
[訳]:そこで、(水車で有名な)宇治の里の人をお呼びになって、(水車を)造らせなさったところ、(彼らは)
たやすく(水車を)組み立てて献上したのだが...
■意味3
わざとらしくない、落ち着きがある。
[出典]:
家居のつきづきしく 徒然草
「うちある調度もむかし覚えて
やすらかなるこそ、心にくしと見ゆれ。 」
[訳]:さりげなく置いてある道具なども古風に感じられて
落ち着きがあるのは、奥ゆかしく思われます。