とらふ/捕らふ/捉ふ/執らふ
このテキストでは、ハ行下二段活用の動詞「
とらふ/捕らふ/捉ふ/執らふ」の意味、活用、解説とその使用例を記している。
ハ行下二段活用
未然形 | とらへ |
連用形 | とらへ |
終止形 | とらふ |
連体形 | とらふる |
已然形 | とらふれ |
命令形 | とらへよ |
■意味1:他動詞
つかむ、にぎる、つまむ。
[出典]:
うつくしきもの 枕草子
「二つ三つばかりなるちごの、急ぎてはひくる道に、いと小さきちりのありけるを目ざとに見つけて、いとをかしげなる指に
とらへて、大人などに見せたる。」
[訳]: 2、3歳ぐらいの子どもが、急いではってくる途中に、ほんの小さなほこりがあったのを目ざとく見つけて、とても愛らしい指で
つまんで、大人などに見せた(様子)
■意味2:他動詞
捕まえる、取り押さえる、自由に動けなくする。
[出典]:世には心得ぬ事の多きなり 徒然草
「逃げんとするを、捕へてひきとどめて、すずろに飲ませつれば...」
[訳]:逃げようとするのを、捕まえて、引きとどめて、むやみやたらに飲ませてしまうと...
■意味3:他動詞
取り上げる、問題にする、自分の意見を通す。
[出典]:紫式部日記
「ただ我が心の立てつる筋をとらへて...」
[訳]:ひたすらに自分の得意な方面を問題にして......