すなはち/即ち/則ち/乃ち
このテキストでは、古文単語「
すなはち/即ち/則ち/乃ち」の意味、解説とその使用例を記している。
「すなはち」には
①名詞
②副詞
③接続詞
の用法がある。
①名詞
■意味1
そのとき、即時、即座。
[出典]:見物は 枕草子
「渡り果てぬるすなはちは、心地もまどふらむ。」
[訳]:行列が通りすぎてしまったそのときは、心も慌てるのだろう。
■意味2
その頃、当時、当座。
[出典]:大地震 方丈記
「即ちは、人みなあぢきなきことを述べて、いささか心の濁りも薄らぐと見えしかど...」
[訳]:(地震があったその)当座は、人はみなどうしようもないことを口にして、少しはココロの濁りも薄らぐように思えたのだが...
②副詞
■意味
すぐに、たちまち、直ちに。
[出典]:
かぐや姫の昇天 竹取物語
「立て籠めたる所の戸、
すなはちただ開きに開きぬ。」
[訳]:(かぐや姫を)閉じ込めておいた所の戸が開いて、
たちまちすべて開いてしまいました。
③接続詞
■意味1
そこで、そういうわけで。
[出典]:我が過去 方丈記
「おのづから短き運を悟りぬ。すなはち、五十の春を迎へて、家を出で世を背けり。」
[訳]:自然と長続きしない運を悟った。そこで、五十歳の春を迎えた時、家を出て出家したのです。
■意味2
つまり、言い換えれば。
[出典]:ある者、子を法師になして 徒然草
「一時の懈怠、すわなち一生の懈怠となる。」
[訳]:一時の怠りが、つまり一生の怠りとなる。