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5_80 世界の様々な地域 / 各国の名称と位置・大陸

「ウクライナ」について調べてみよう

著者名: 早稲男
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ウクライナ

ウクライナ(英語ではUkraine)は、東ヨーロッパに位置する共和制国家です。首都はキーウ(かつてはキエフ)です。

このテキストでは、ウクライナの特徴を「国土」、「人口と人種」、「言語」、「主な産業」、「主な観光地」、「文化」、「スポーツ」、「日本との関係」の8つのカテゴリに分けて詳しく見ていき、同国の魅力や国際的な影響力について考えていきます。


1.国土:広大で多様な地形

ウクライナの国土面積は、約60万3,700平方キロメートル(外務省、2023年)で、日本の約1.6倍の広さを誇ります。東はロシア連邦、北はベラルーシ、西はポーランド、スロバキア、ハンガリー、西南はルーマニア、モルドバと国境を接しており、南は黒海に面し、トルコなどと向かい合います。地形は変化に富み、北部のポリーシャ湿地帯、東部のドネツク丘陵、西部のカルパチア山脈、そして肥沃な黒土が広がる中央部と南部平原など、多様な景観が広がっています。特に、南部平原は「ヨーロッパの穀倉地帯」として知られ、豊かな農業生産を支えています。


2.人口と人種:多様な民族構成

ウクライナの人口は約4,159万人(2021年、クリミアを除く)(外務省、2023年)です。民族構成は、ウクライナ人が77.8%と多数を占めますが、ロシア人(17.3%)、ベラルーシ人、モルドバ人、クリミア・タタール人など、多様な民族が共存しています(外務省、2023年)。この多様な民族構成が、ウクライナ文化の豊かさを生み出しています。


3.言語

ウクライナ語は国家語として定められており、東スラヴ語群に属します。ロシア語も広く使用されており、特に都市部や東部地域で日常的に話されています。多くのウクライナ人は、ウクライナ語とロシア語のバイリンガルです。


4.主な産業:農業と工業、そしてIT産業

ウクライナは農業が盛んな国であり、特に小麦の生産量は世界有数です。また、鉄鋼、機械製造、化学工業などの重工業も主要な産業として発展してきました。近年では、IT産業が急速に成長しており、多くの技術者やスタートアップ企業が活躍しています。


5.主な観光地:歴史と文化、そして自然

ウクライナには、魅力的な観光地が数多く存在します。首都キーウは、聖ソフィア大聖堂やキーウ・ペチェールシク大修道院などの歴史的建造物があり、ユネスコ世界遺産にも登録されています。西部のリヴィウは、中世の街並みが残り、文化的な魅力に溢れています。ロシアのウクライナ侵攻により破壊されてしまいましたが、南部のオデーサは、黒海沿岸の美しいリゾート地として知られていました。


6.文化:豊かな伝統と多様な表現

ウクライナ文化は、音楽、舞踊、文学、工芸など、多岐にわたります。伝統的な音楽や舞踊は、民族衣装を身に着け、色鮮やかなパフォーマンスが特徴です。ウクライナ文学は長い歴史を持ち、多くの著名な作家や詩人を輩出しています。工芸品では、刺繍や陶器、木彫りなどが伝統的な技術として受け継がれています。


7.スポーツ:サッカーとボクシング

ウクライナでは、サッカーが最も人気のあるスポーツであり、多くのプロチームや熱狂的なファンが存在します。また、ボクシングやレスリング、体操などでも世界的に活躍する選手を輩出しています。特に、ウクライナ出身のボクサー、ウラジミール・クリチコは、世界ヘビー級チャンピオンとして知られています。


8.日本との関係

日本とウクライナは、1992年の外交関係樹立以来、経済協力や安全保障の分野で着実に関係を深化させてきました。

11.経済協力

日本とウクライナの経済関係は、貿易、投資、技術協力など多岐にわたります。2008年以降、両国はウクライナ日本センターや日本貿易振興機構(JETRO)などの団体を通じて定期的な交流を行い、関係を深化させてきました。2009年3月25日には、ウクライナのユリヤ・ティモシェンコ首相(当時)が訪日し、日本の麻生太郎首相(当時)と会談。両首脳は、貿易、投資、エネルギー効率化などの分野での協力を歓迎する共同声明を発表しました。

貿易面では、日本はウクライナからアルミニウムや食品を輸入し、ウクライナへは鋼管や自動車を輸出しています。また、2008年7月15日には、日本がウクライナから温室効果ガスの排出枠を購入することで合意し、2009年3月26日に正式な協定が締結されました。この取り組みは、京都議定書の目標達成に向けたものであり、環境分野での協力の一例となっています。

さらに、日本は1998年から2009年にかけて、ウクライナの教育・文化機関に対して430万ドル以上の資金援助を行い、総額1億5,180万ドル以上の補助金を提供しています。これらの支援は、ウクライナの社会・経済発展に寄与しています。

2. 安全保障

安全保障の分野では、ウクライナは1990年7月16日に主権宣言を採択し、将来的に軍事ブロックに属さない中立国となること、核兵器を使用せず、生産せず、保有しないという非核三原則を堅持することを明らかにしました。1993年10月19日に発効した軍事ドクトリンでは、ウクライナ軍の主たる任務を国家防衛と規定しています。また、ウクライナは1994年12月5日にブダペスト覚書に署名し、核兵器を放棄する代わりに、アメリカ、イギリス、ロシアから安全保障の保証を受けました。

日本は、ウクライナの主権と領土の一体性を一貫して支持しており、特に2014年のクリミア併合以降、ウクライナへの支援を強化しています。2023年3月21日、岸田文雄首相はウクライナを訪問し、ゼレンスキー大統領と会談。この際、両国は「特別なグローバル・パートナーシップに関する共同声明」を発表し、二国間関係を「特別なグローバル・パートナーシップ」に格上げすることで合意しました。また、情報保護協定の締結に向けた調整を開始することも決定されました。

さらに、日本はウクライナに対して非致死性の防衛装備品として約3,000万ドルの支援を行うことを表明しました。この支援は、NATOの信託基金を通じて実施され、防弾チョッキや衣類などが提供される予定です。また、エネルギー分野においても、4億7,000万ドルの新たな無償資金協力が発表され、ウクライナのエネルギーインフラの復旧と強化に寄与することが期待されています。

日本の防衛省も、ウクライナ支援に積極的に関与しています。2024年3月28日には、自衛隊の車両をウクライナに提供するための発送が行われました。また、同年3月21日には、防衛政策局次長がウクライナ支援に関する多国間会議に参加し、国際的な支援活動における日本の役割を果たしています。

このように、日本とウクライナは経済協力と安全保障の両面で緊密な関係を築いており、国際社会の平和と安定に向けた取り組みを共同で推進しています。
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CIA World Factbook
世界銀行 (World Bank) 公式サイト
日本ユニセフ協会
外務省
ウクライナの公式サイト

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