あばらなり/荒らなり/疎らなり
このテキストでは、ナリ活用の形容動詞「
あばらなり/荒らなり/疎らなり」の意味、活用、解説とその使用例を記しています。
形容動詞・ナリ活用
未然形 | あばらなら | ◯ |
連用形 | あばらなり | あばらに |
終止形 | あばらなり | ◯ |
連体形 | あばらなる | ◯ |
已然形 | あばらなれ | ◯ |
命令形 | あばらなれ | ◯ |
■意味1
すき間が多い、がらんとしている。
[出典]:
伊勢物語
「うち泣きて、
あばらなる板敷に、月の傾くまで伏せりて、去年を思ひ出でて詠める。」
[訳]:(男性は)泣いて、(戸も障子もなく)
がらんとした板の間に、月が傾くまで横になって、去年のことを思い出して詠んだ歌です。
■意味2
荒れ果てている。
[出典]:
伊勢物語
「雨もいたう降りければ、
あばらなる蔵に、女をば奥に押し入れて...」
[訳]:雷さえとても激しく鳴り、雨もひどく降っていたので、(その蔵が鬼のすみかとも知らずに)
荒れ果てた蔵に、女性を奥に押し込んで...
■意味3
人が手薄である、まばらである。
[出典]:平家物語 篠原合戦
「...後ろあばらになりければ、力及ばで引き退く。」
[訳]:...後続の兵がまばらになったので、戦力が足りずに退却する。