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史記『完璧帰趙(秦王章台に坐して、相如を見る〜)』現代語訳(口語訳)・書き下し文と解説

著者名: 走るメロス
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史記『完璧帰趙』

このテキストでは、史記の一節『完璧帰趙』の「秦王坐章台、見相如〜」から始まる部分の原文(白文)、書き下し文、現代語訳(口語訳)とその解説を記しています。



※十八史略の完璧とは異なるので注意してください。

※前回のテキスト:史記『完璧帰趙(是に於いて王召見し〜)』の現代語訳

白文(原文)

秦王坐章台、見相如。
相如奉璧奏秦王。
秦王大喜、伝以示美人及左右。
左右皆呼万歳。
相如視秦王無意償趙、乃前曰、
「璧有瑕。
請指示王。」


王授璧。
相如因持璧、卻立倚柱、怒髪上衝冠。
謂秦王曰、
「大王欲得璧、使人発書至趙王。
趙王悉召群臣議。
皆曰、

『秦貪負其彊、以空言求璧。
償城恐不可得。』

議不欲予秦璧。
臣以為、布衣之交、尚不相欺。
況大国乎
且以一璧之故、逆彊秦之、不可。
於是、趙王乃斎戒五日、使臣奉璧、拝-送書於庭。
何者、厳大国之威、以修敬也。
今臣至、大王見臣列観、礼節甚倨。
得璧伝之美人、以戯弄臣。
臣観大王無意償趙王城邑。
故臣復取璧。
大王必欲急臣、臣頭、今与璧俱砕於柱矣。」



相如持其璧、睨柱、欲以撃柱。

書き下し文

秦王章台に坐して、相如を見る。
相如璧を奉じて秦王に奏(すす)む。
秦王大いに喜び、伝へて以て美人及び左右に示す。
左右皆万歳と呼ぶ。
相如秦王の趙に城を償ふの意無きを視(み)て、乃ち前(すす)みて曰はく、
「璧に瑕(きず)有り。
請ふ王に指示せん。」と。


王璧を授く。
相如因りて璧を持ち、卻立(きやくりつ)して柱に倚(よ)り、怒髪上りて冠を衝く。
秦王に謂ひて曰はく、

「大王璧を得んと欲し、人をして書を発して趙王に至らしむ。
趙王悉(ことごと)く群臣を召して議せしむ。

皆曰はく、
『秦は貪(たん)にして其の彊きを負(たの)み、空言を以て璧を求む。
償城恐らくは得べからざらん。』と。



議秦に璧を予ふるを欲せず。
臣以為(おもへ)らく、布衣(ふい)の交はりすら、尚ほ相欺かず。
況(いは)んや大国をや。
且つ一璧の故を以て、彊(きょう)秦の驩(かん)に逆らふは、不可なりと。
是に於ひて、趙王乃ち斎戒すること五日、臣をして璧を奉ぜしめ、書を庭に拝送す。
何となれば、大国の威を厳れて、以て敬を修むればなり。
今臣至るに、大王臣を列観に見て、礼節甚だ倨(おご)る。
璧を得るや之を美人に伝へ、以て臣を戯弄(ぎろう)す。
臣大王の趙王に城邑を償ふに意無きを観る。
故に臣復た璧を取る。
大王必ず臣に急にせんと欲せば、臣の頭(こうべ)は、今璧と俱に柱に砕けん。」と。



相如其の璧を持ちて、柱を睨(にら)み、以て柱に撃たんと欲す。

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『教科書 高等学校 古典B 漢文編』 三省堂
鎌田正、米山寅太郎 著 2011 『新漢語林 第二版』大修館書店

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