十訓抄『文字一つの返し』
ここでは、十訓抄の中の『文字一つの返し』でテストに出題されそうな問題をピックアップしていきます。
次の文章を読み、問いに答えよ。
成範卿、事ありて、召し返されて、
内裏に参ぜられたりけるに、昔は女房の入り立ちなりし人の、今はさもあらざりければ、女房の中より、昔を思ひ出でて、
雲の上はありし昔に変はらねど見し玉垂れのうちや恋しき
と詠み出だしたりけるを、返事せむとて、灯籠の際に寄りけるほどに、小松大臣の参り給ひければ、急ぎ立ち退くとて灯籠の火のかきあげの木の端にて、「や」文字を消ちて、そばに、「ぞ」文字を書きて、御簾のうちへさし入れて、出でられにけり。
女房取りて見るに、「ぞ」文字一つにて返しをせられたりける、
ありがたかりけり。
問題
■Q1:「内裏」、「御簾」を現代仮名遣いで記しなさい。
■Q2:作中で、内裏とほぼ同じ意味で使われている言葉を文中から抜き出しなさい。
■Q3:「雲の上はありし昔に変はらねど見し玉垂れのうちや恋しき」を現代語訳しなさい。
■Q4:「雲の上はありし昔に変はらねど見し玉垂れのうちや恋しき」は係助詞であるが、何を意味する係助詞か答えなさい。
■Q5:成範卿は、和歌をどのように書き換えて返歌としたのか。返歌を書き、現代語訳しなさい。
■Q6:「ありがたかりけり」とあるが、何が「ありがたし」なのかを答えなさい。
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