今物語『桜木の精』
このテキストでは、今物語の中の『桜木の精』でテストに出題されそうな問題をピックアップしていきます。
次の文章を読み、問いに答えよ
小式部内侍、大二条殿におぼしめされけるころ、久しく仰せ言なかりける夕暮れに、
あながちに恋ひ奉りて、 端近くながめゐたるに、御車の音などもなくて、
ふと入らせ給ひたりければ、待ち得て
夜もすがら語らひ申しける。暁方に、いささかまどろみたる夢に、糸の付きたる針を御直衣の袖に刺すと見て夢覚めぬ。
さて
帰らせ給ひにける朝に、御名残を思ひ出でて、例の端近くながめいたるに、前なる桜の木に糸の下がりたるを、あやしと思ひて見ければ、夢に、御直衣の袖に刺しつる針なりけり。
いと不思議なり。
あながちに物を思ふ折には、
木草なれども、かやうなることの侍るにや。その夜御渡りあること、まことにはなかりけり。
問題
■Q1:「内侍」、「仰せ言」、「直衣」を現代仮名遣いで記しなさい。
■Q2:「あながちに恋ひ奉りて、端近くながめゐたるに」を現代語訳しなさい。
■Q3:「ふと入らせ給ひたりければ」を主語を明確にして現代語訳しなさい。
■Q4:「夜もすがら」の意味を答えなさい。
■Q5:「帰らせ給ひける朝に」を主語を明確にして現代語訳しなさい。
■Q6:「いと不思議なり」とはなにが不思議なのか。
■Q7:「草木なれども、かやうなることの侍るにや」の「かやうなること」とはどのようなことか記しなさい。
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