高次方程式の解と係数の関係
前回のテキストでは、
解が実数のときの高次方程式の求め方をみました。今回は、「解に虚数が含まれているときに高次方程式を求める方法」についてみていきます。
3次方程式"x³−ax²+bx−6=0"が、"x=1+i"を解にもつとき、実数aとbの値と、3次方程式の残りの解を求めてみよう。
実数aとbの値を求める
考え方は実数のときと同じで、"x=1+i"を式に代入します。
(1+i)³−a(1+i)²+b(1+i)−6=0
2i−2−2ai+b+bi−6=0
iがつくものとつかないものとに整理します。
−2+b−6+2i−2ai+bi=0
−2+b−6+(2−2a+b)i=0
設問より、aとbは実数なので、"−2+b−6"も"(2−2a+b)"も実数となります。さぁ、ここで思い出しましょう。
aとbが実数のとき、
a+bi=0ならば、a=0、b=0
複素数の相等を参照。
これを利用すると
・−2+b−6=0
・2−2a+b=0
という2つの式がたちます。これを解くと、
"a=5、b=8"が求まります。
3次方程式の解を求める
続いてこの方程式の解を求めていきます。
先ほどaとbの値を求めたので、もとの式は"x³−5x²+8x−6=0"となります。
"P(x)=x³−5x²+8x−6"としたとき、x=3のときに
P(3)=3³−5・3²+8・3−6=0
となるので、この方程式の左辺は、"(x−3)"を因数にもつことがわかります。(ここがわからない人は、
因数定理を用いた因数分解を復習しておきましょう)
x³−5x²+8x−6=(x−3)(x²−2x+2)=0
※"x²−2x+2"は、"(x³−5x²+8x−6)÷(x−3)"で求めます。
あとは"(x−3)(x²−2x+2)=0"を解くだけですね。
この式を満たすxの値は、
・x−3=0
・x²−2x+2=0
を解くことで求まります。
■x−3=0
x−3より、x=3
■x²−2x+2=0
解の公式より、x=1±i
設問では残りの解を求めよとなっていたので、
"x=3、1−i"が答えとなります。
共役な複素数
今の問題をもう少し掘り下げてみましょう。
"x³−5x²+8x−6=0"の解は、"x=3、1±i"でした。ここで注目したいのは
"1±i"です。
"1+i"と"1−i"、これらは
共役な複素数ですね。今回の問題のように、
係数が実数である方程式が虚数解"a+bi"をもつとき、その共役な複素数である"a−bi"もまた方程式の解となることを覚えておきましょう。
これを利用すると、「"1+i"を解にもつ」と出題された場合、即座に「もう1つの解は"1−i"だな」と求める事ができます。