身をかへて、天人などは
身をかへて、天人などはかうやあらむとみゆるものは、ただの女房にてさぶらふ人の、御乳母(めのと)になりたる。唐衣(からぎぬ)もきず、裳をだにもよういはばきぬさまにて、御前にそひふし、御丁のうちを居所にして、女房どもをよびつかひ、局にものをいひやり、文をとりつがせなどしてあるさま、いひつくすべくもあらず。
雑色の蔵人になりたる、めでたし。去年(こぞ)の霜月の臨時の祭に、御琴を持たりしは、人とも見えざりしに、君達(きんだち)とつれだちてありくは、いづこなる人ぞとおぼゆれ。ほかよりなりたるなどは、いとさしもおぼえず。