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枕草子 原文全集「もののあはれ知らせ顔なるもの/さてその左衛門の陣などに」

著者名: 古典愛好家
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もののあはれ知らせ顔なるもの

もののあはれ知らせ顔なるもの。

はな垂り、間もなうかみつつものいふ声。

眉抜く。


さてその左衛門の陣などに

さてその左衛門の陣などにいきて後、里に出てしばしある程に、

「とくまゐりね」


などある仰せ事のはしに、

「左衛門の陣へいきしうしろなむつねに思召(おぼしめし)出らるる。いかでか、さ、つれなくうちふりてありしならむ。いみじうめでたからむとこそ、おもひたりしか」


など仰せられたる御返に、かしこまりのよし申して、私には、

「いかでかはめでたしと思ひ侍らざらん。御まへにも、『なかなるおとめ』とは御覧じおはしけむとなむ思たまへし」


と、聞こえさせたれば、たちかへり、

「いみじく思へなる仲忠がおもてぶせなる事は、いかで敬したるぞ。ただ今宵のうちに、よろづの事をすててまゐれ。さらずはいみじうにくませ給はん」


となん仰せ事あれば、よろしからむにてだにゆゆし。まいていみじうとある文字には、命も身もさながらすててなむ、とてまゐりにき。




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・枕草子 原文全集「もののあはれ知らせ顔なるもの/さてその左衛門の陣などに」

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松尾聰,永井和子 1989年「完訳 日本の古典 枕草子」小学館
渡辺実 1991年「新日本古典文学大系 枕草子・方丈記」岩波書店
萩谷朴 1977年「新潮日本古典集成 枕草子 上」 新潮社

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