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枕草子 原文全集「御仏名のまたの日」

著者名: 古典愛好家
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御仏名のまたの日

御仏名のまたの日、地獄絵の御屏風とりわたして、宮に御覧ぜさせたてまつらせたまふ。

ゆゆしういみじきことかぎりなし。

「これ見よ、これ見よ」


とおほせらるれど、さらに見はべらで、ゆゆしさに、こへやにかくれふしぬ。


雨いたうふりて、つれづれなりとて、殿上人、上の御局にめして御遊びあり。

道方(みちかた)の少納言、琵琶いとめでたし。

済政(なりまさ)筝(しやう)の琴、行義(ゆきよし)笛、経房の中将笙(しやう)の笛など、おもしろし。

ひとわたり遊びて琵琶弾きやみたるほどに、大納言殿

「琵琶声やんで、物語せむとすることをそし」


と誦(ず)したまへりしに、かくれふしたりしも起きいでて

「なほ罪は恐しけれど、もののめでたさはやむまじ」


とて、笑はる。




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・枕草子 原文全集「御仏名のまたの日」

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萩谷朴 1977年「新潮日本古典集成 枕草子 上」 新潮社
渡辺実 1991年「新日本古典文学大系 枕草子・方丈記」岩波書店
松尾聰,永井和子 1989年「完訳 日本の古典 枕草子」小学館

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