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枕草子 原文全集「しのびたる所にありては」

著者名: 古典愛好家
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しのびたる所にありては

しのびたる所にありては、夏こそをかしけれ。

いみじくみじかき夜の明けぬるに、つゆ寝ずなりぬ。

やがてよろづの所あけながらあれば、涼しく見えわたされたる。

なほ今すこし言ふべきことのあれば、かたみに答などするほどに、ただ居たるうへより、烏のたかくなきて行くこそ、顕正(けせう)なる心地してをかしけれ。


また、冬の夜のいみじう寒きに、思う人とうもれふして聞くに、鐘の音の、ただ、ものの底なるやうに聞ゆる、いとをかし。

鳥のこゑも、はじめは羽のうちになくが、口をこめながらなけば、いみじうものふかく、遠きが、明くるままにちかく聞ゆるも、をかし。
           

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・枕草子 原文全集「しのびたる所にありては」

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萩谷朴 1977年「新潮日本古典集成 枕草子 上」 新潮社
渡辺実 1991年「新日本古典文学大系 枕草子・方丈記」岩波書店
松尾聰,永井和子 1989年「完訳 日本の古典 枕草子」小学館

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