東下り(三河国)
このテキストでは、
伊勢物語の一節『
東下り(三河国)』でテストに出題されそうな問題をピックアップしています。
※
伊勢物語は平安時代初期に書かれた歌物語です。作者は未詳ですが、
在原業平がモデルではないかと言われています。
次の文章を読み、問いに答えよ
昔、男ありけり。その男、身を
えうなきものに思ひなして、
京にはあらじ、東の方に住むべき国求めにとて行きけり。もとより友とする人、ひとりふたりして、いきけり。道知れる人もなくて惑ひ行きけり。
三河の国、八橋といふ所にいたりぬ。そこを八橋といひけるは、水ゆく河の蜘蛛手なれば、橋を八つ渡せるによりてなむ、八橋といひける。その沢のほとりの木の陰に下り居て、
餉食ひけり。その沢に、
かきつばたいとおもしろく咲きたり。それを見て、ある人のいはく、
「かきつばたといふ五文字を、句の上に据ゑて、旅の心をよめ」
といひければよめる。
から衣 着つつなれにし つましあれば はるばるきぬる 旅をしぞ思ふ
とよめりければ、みな人、餉の上に涙落として、ほとびにけり。
問題
■Q1:伊勢物語は、誰をモデルとして書かれたとされているか
■Q2:「えうなき」とはどのようなことか、説明せよ。
■Q3:「京にはあらじ」の「じ」の文法的意味を答えよ
■Q4:「三河」とは、現在のどの都道府県にあたるか。
■Q5:「餉」の読み方を歴史的仮名遣いで記せ。
■Q6:「三河八橋」が「八橋」という名前をつけられた理由を述べよ。
■Q7:「かきつばたいとおもしろく咲きたり」の「おもしろく」の現代語訳を書け。
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