酸化数の登場背景
2Cu+O2→2CuOのような反応はイオン結合なので、電子がどのように移動したのかがわかりやすいです。しかしながら世の中には、
電子がどのようにいったりきたりしたのかがわからないややこしい反応も存在します。それを明確にするために
酸化数という概念が登場しました。
実を言うと、この酸化数の変化を見るだけですぐに酸化なのか還元なのかがわかるようになっています。
酸化数が増えれば酸化、
減少すれば還元とすぐに見分けることができるのでとても便利なものです。
酸化数とは
それでは酸化数とは何なのかを実際にみていきましょう。
酸化数とは、単体・化合物・イオンの中で、各原子が標準の状態に比べて電子を多く持っているのか、少なく持っているのかを表したものである
電子はマイナスの電気を帯びているので、電子を過剰に持っていれば酸化数は「マイナス」、
電子が不足していれば酸化数は「プラス」とされます。
と言われてもよくわからないですよね。
実際に例をあげてみていきましょう!
■酸化数が「0」
単体中の原子の酸化数は常に「ゼロ」です。
H2(水素)、O2(酸素)、Cl(塩素)、Cu(銅)などがこれに該当します。
■酸化数が「プラス」
主にイオンが該当します。
H+(水素イオン)はHがイオンとなるために、電子を1個捨てた状態のものです。電子が1つ不足しているので酸化数は「1」、同じ理由でCu2+(銅イオン)は酸化数「2」となります。
■酸化数が「マイナス」
主にイオンが該当します。
Cl-(塩素イオン)は、Clがイオンとなるために電子を1個多く取り込んだ状態のものです。電子を1個過剰に持っているので酸化数は「-1」、同じ理由でO2-(酸素イオン)は酸化数「-2」となります。
酸化数の計算の仕方
中性な化合物
実は化合物中の水素は酸化数「+1」、化合物中の酸素は酸化数「-2」と決められており(例外もあります)、
電気的に中性な化合物の酸化数の総和は0であるとされています。
例えばNH3の場合、Nの酸化数をXとすると
X+(+1)×3=0 よってNの酸化数は「-3」。
というように計算ができます。
多原子イオン
多原子イオンの場合、
成分原子の酸化数の総和は、そのイオンの価数に等しくなるように決められています。また、ここでも水素は酸化数「1」、化合物中の酸素は酸化数「-2」と決められています。
例えばNH4+(アンモニウムイオンの場合)、Nの酸化数をXとすると
X+(+1)×4=+1 よってNの酸化数は「-3」と求めることができます。
簡単な計算式ですので、しっかり抑えるようにしておきましょう。