平家物語『木曽の最期』の品詞分解(5/8)
このテキストでは、
平家物語の一節『
木曽の最期』の「
今井四郎、木曽殿、主従二騎になってのたまひけるは~」から始まる部分の品詞分解を記しています。書籍によっては「
木曾最期」や「
木曽最期」と題するものもあるようです。
前回のテキスト
平家物語「木曽殿、『おのれは疾う疾う女なれば~』」の品詞分解
現代語訳
平家物語「今井四郎、木曽殿、主従二騎になってのたまひけるは~」の現代語訳と解説
平家物語とは
「
祇園精舎の鐘の声〜」で始まる一節で広く知られている
平家物語は、鎌倉時代に成立したとされる軍記物語です。平家の盛者必衰、武士の台頭などが描かれています。
品詞分解
※名詞は省略しています。
■今井四郎、木曾殿、主従二騎になつて、のたまひけるは、「日ごろは何とも覚えぬ鎧が、今日は重うなつたるぞや。」今井四郎申しけるは、
今井四郎、 | ー |
木曾殿、 | ー |
主従二騎 | ー |
に | 格助詞 |
なつ | ラ行四段活用「なる」連用形「なり」の促音便 |
て、 | 接続助詞 |
のたまひ | ハ行四段活用「のたまふ」の連用形・尊敬語 |
ける | 過去の助動詞「けり」の連体形 |
は、 | 係助詞 |
「日ごろ | ー |
は | 係助詞 |
何 | 代名詞 |
と | 格助詞 |
も | 係助詞 |
覚え | ヤ行下二段活用「おぼゆ」の未然形 |
ぬ | 打消の助動詞「ず」の連体形 |
鎧 | ー |
が、 | 格助詞 |
今日 | ー |
は | 係助詞 |
重う | 形容詞・ク活用「おもし」の連用形「おもく」のウ音便 |
なつ | ラ行四段活用「なる」の連用形「なり」の促音便 |
たる | 完了の助動詞「たり」の連体形 |
ぞ | 終助詞 |
や。」 | 間投助詞 |
今井四郎 | ー |
申し | サ行四段活用「まうす」の連用形・謙譲語 |
ける | 過去の助動詞「けり」の連体形 |
は、 | 係助詞 |
■「御身もいまだ疲れさせたまはず。御馬も弱り候はず。何によつてか一領の御着背長を重うは思し召し候ふべき。
「御身 | ー |
も | 係助詞 |
いまだ | 副詞 |
疲れ | ラ行下二段活用「つかる」の未然形 |
させ | 尊敬の助動詞「さす」の連用形 |
たまは | 尊敬の補助動詞・ハ行四段活用「たまふ」の未然形 |
ず。 | 打消の助動詞「ず」の終止形 |
御馬 | ー |
も | 係助詞 |
弱り | ラ行四段活用・連用形 |
候は | 丁寧の補助動詞・ハ行四段活用・未然形 |
ず。 | 打消の助動詞・終止形 |
何 | 代名詞 |
に | 格助詞 |
よつ | ラ行四段活用「よる」の連用形「より」の促音便 |
て | 接続助詞 |
か | 係助詞 |
一領 | ー |
の | 格助詞 |
御着背長 | ー |
を | 格助詞 |
重う | 形容詞・ク活用・連用形のウ音便 |
は | 係助詞 |
おぼし召し | サ行四段活用・連用形・尊敬語 |
候ふ | 丁寧の補助動詞・ハ行四段活用・終止形 |
べき。 | 当然の助動詞・連体形 |
■それは御方に御勢が候はねば、臆病でこそ、さは思し召し候へ。兼平一人候ふとも、余の武者千騎と思し召せ。
それ | 代名詞 |
は | 係助詞 |
御方 | ー |
に | 格助詞 |
御勢 | ー |
が | 格助詞 |
候は | ハ行四段活用・未然形 |
ね | 打消の助動詞・已然形 |
ば、 | 接続助詞 |
臆病 | ー |
で | 格助詞 |
こそ、 | 係助詞 |
さ | 副詞 |
は | 係助詞 |
思し召し | サ行四段活用・連用形・尊敬語 |
候へ。 | 丁寧の補助動詞・ハ行四段活用・已然形 |
兼平一人 | ー |
候ふ | ハ行四段活用・終止形 |
とも、 | 接続助詞 |
余 | ー |
の | 格助詞 |
武者 | ー |
千騎 | ー |
と | 格助詞 |
思し召せ。 | サ行四段活用・命令形・尊敬語 |
■矢七つ八つ候へば、しばらく防き矢仕らん。あれに見え候ふ、粟津の松原と申す。あの松の中で御自害候へ。」とて、打つて行くほどに、また新手の武者五十騎ばかり出で来たり。
矢七つ八つ | ー |
候へ | ハ行四段活用・已然形 |
ば、 | 接続助詞 |
しばらく | 副詞 |
防き矢 | ー |
つかまつら | ラ行四段活用・未然形・尊敬語 |
ん。 | 意志の助動詞・終止形 |
あれ | 代名詞 |
に | 格助詞 |
見え | ヤ行下二段活用・連用形 |
候ふ、 | 丁寧の補助動詞・ハ行四段活用・連体形 |
粟津 | ー |
の | 格助詞 |
松原 | ー |
と | 格助詞 |
申す。 | サ行四段活用・連体形 |
あ | 代名詞 |
の | 格助詞 |
松 | ー |
の | 格助詞 |
中 | ー |
で | 格助詞 |
御自害 | ー |
候へ。」 | ハ行四段活用・命令形 |
とて、 | 格助詞 |
打つ | タ行四段活用「うつ」の連用形「うち」の促音便 |
て | 接続助詞 |
行く | カ行四段活用「いく」の連体形 |
ほど | ー |
に、 | 格助詞 |
また | 副詞 |
新手 | ー |
の | 格助詞 |
武者 | ー |
五十騎 | ー |
ばかり | 副助詞 |
出で来 | カ行変格活用「いでく」の連用形 |
たり。 | 完了の助動詞「たり」の終止形 |
※つづき:
平家物語「君はあの松原へ入らせたまへ~」の品詞分解
※現代語訳:
平家物語「今井四郎、木曽殿、主従二騎になってのたまひけるは~」のわかりやすい現代語訳と解説
関連テキスト
・平家物語『
祇園精舎・冒頭』
・平家物語『
宇治川の先陣』
・平家物語『
能登殿最期・壇ノ浦の合戦』
・平家物語『
忠度の都落ち』
走るメロスはこんな人
学生時代より古典の魅力に取り憑かれ、社会人になった今でも休日には古典を読み漁ける古典好き。特に1000年以上前の文化や風俗をうかがい知ることができる平安時代文学がお気に入り。作成したテキストの総ページビュー数は1,6億回を超える。好きなフレーズは「頃は二月(にうゎんがつ)」や「月日は百代の過客(くゎかく)にして」といった癖のあるやつ。早稲田大学卒業。