はじめに
このテキストでは、
新古今和歌集で詠まれている「
薄く濃き野辺の緑の若草に跡まで見ゆる雪のむら消え」という歌について説明していきます。
原文
薄く濃き野辺の緑の若草に跡まで見ゆる雪のむら消え
現代語訳(口語訳)
野辺の草の色が薄いかそれとも濃いかで、雪が早くとけて草がはやく芽吹いたのか、それとも雪がとけるのが遅くて草が芽吹くのが遅かったのかが一様に見てとれます。
解説・鑑賞のしかた
春になるまでそこに積もっていた雪の溶け具合が遅くて、草が芽吹くのにも時間がかかってしまったところは若草の緑の色が薄く、一方で、はやく雪がとけたところには、草が芽吹くのも早く、緑の色が濃くなっている様を表現した歌です。
単語
薄く濃き | 生えている草の緑の濃さを指している |
若草 | 芽を出してまもない草 |
品詞分解
※名詞は省略しています。
薄く | 形容詞・ク活用・連用形 |
濃き | 形容詞・ク活用・連体形 |
野辺 | ー |
の | 格助詞 |
緑 | ー |
の | 格助詞 |
若草 | ー |
に | 格助詞 |
跡 | ー |
まで | 副詞 |
見ゆる | ヤ行下二段活用・連体形 |
雪 | ー |
の | 格助詞 |
むら消え | ー |