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9_80 文章の読み解き / 文章の読み解き

高校古文『心なき身にもあはれは知られけり鴫立つ沢の秋の夕暮れ』訳・解説・品詞分解

著者名: 走るメロス
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はじめに

このテキストでは、新古今和歌集に収録されている歌「心なき身にもあはれは知られけり鴫立つ沢の秋の夕暮れ」の原文、現代語訳・口語訳、解説とその品詞分解を記しています。



原文

心なき身にもあはれは知られけり 鴫立つ沢の秋の夕暮れ

ひらがなでの読み方

こころなき みにもあはれは しられけり しぎたつさわの あきのゆふぐれ

現代語訳

俗世間から離れた私のような身であっても、しみじみすることはあるものです。鴫(しぎ)が飛び立つ沢の夕暮れよ。



解説・鑑賞のしかた

この歌は、平安時代から鎌倉時代の僧、西行によって詠まれたものです。心なき身とは、出家して俗世間の感情を捨て切った僧の身、あはれとは悲しみや人を憐れむ気持ちではなく、心に染みる感動を意味します。鴫(しぎ)とは鳥の一種で、鴫立つ沢とは、鴫が飛びだって行く小川のことを指しています。「心なき」=「心がない」として「どこか魂が脱けてしまったような人」などと訳さないように注意しましょう。

出家して人の感情を捨てたにもかかわらず、鴫が飛び立つ沢をみていたら、なんとも言えない感動が心にわいてきたよ」と、俗世間を捨てたはずの西行が、このように感情的な歌を詠んでいるというところがこの歌の最大のだいご味です。

単語

心なし物の情緒を理解する心がない
あはれしみじみとした情緒
渡り鳥の一種


品詞分解

※名詞は省略しています。



なきク活用の形容詞「なし」の連体形
格助詞
係助詞
あはれ
係助詞
知らラ行四段活用「しる」の未然形
自発の助動詞「る」の連用形
けり詠嘆の助動詞「けり」の終止形
立つタ行四段活用「たつ」の連体形
格助詞
格助詞
夕暮れ

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佐竹昭広、前田金五郎、大野晋 編1990 『岩波古語辞典 補訂版』 岩波書店
『教科書 国語総合』 大修館書店

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