カリフ制とは
(最後のカリフ:アブデュルメジト2世)
ムハンマドの死後、その後継者としてカリフが成立します。
カリフは「ムハンマドの後継者」のことで、宗教的権限を除く、政治・社会に関する権限を有して、イスラム共同体(ウンマ)を指導しました。
このカリフ制は、イスラム世界の拡大や発展とともに、その意味合いが変化していきます。
カリフ制の変遷
王朝 | カリフの意味合い |
正統カリフ(7世紀前半) | 信徒の選挙によって選出。 |
ウマイヤ朝(7世紀中頃) | ムアーウィア以降、カリフが世襲制に。政治権限とともに、宗教的権限も持つようになる。 |
アッバース朝(8世紀) | カリフの神格化が進み、宗教色が強くなる。 |
アッバース朝(10世紀) | ブワイフ朝がアッバース朝カリフから政治権限を奪取。同時期、ファーティマ朝、後ウマイヤ朝もカリフを名乗り、3カリフ並立。 |
アッバース朝(11世紀) | 強大化したセルジューク朝にスルタンの称号を与え政治権限を譲り、以後カリフは宗教権限のみを持つようになる。 |
マムルーク朝(13世紀) | アッバース朝滅亡後のカリフを保護。 |
オスマン帝国(16世紀) | マムルーク朝滅亡後、カリフから権限を奪い、スルタン=カリフ制が始まる。 |
トルコ共和国(20世紀) | ムスタファ=ケマルによるトルコ革命にて、1924年カリフ制が廃止される。政教分離が実現。 |