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百人一首40『しのぶれど色に出でにけりわが恋はものや思ふと人の問ふまで』現代語訳と解説(倒置法・句切れなど)
著作名: 走るメロス
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百人一首(40)平兼盛/歌の意味と読み、現代語訳、単語、品詞分解、覚え方

しのぶれど 色に出でにけり わが恋は ものや思ふと 人の問ふまで


このテキストでは、百人一首に収録されている歌「しのぶれど色に出でにけりわが恋はものや思ふと人の問ふまで」のわかりやすい現代語訳・口語訳と解説(倒置法、係り結び、句切れなど)、歌が詠まれた背景や意味、そして品詞分解を記しています。この歌は、百人一首の他に、拾遺和歌集にも収録されています。



百人一首とは

百人一首は、平安時代末期から鎌倉時代初期にかけて活動した公家・藤原定家が選んだ和歌集です。100人の歌人の和歌を、1人につき1首ずつ選んで作られています。百人一首と言われれば一般的にこの和歌集のことを指し、小倉百人一首(おぐらひゃくにんいっしゅ)とも呼ばれます。


暗記に役立つ百人一首一覧

以下のテキストでは、暗記に役立つよう、それぞれの歌に番号、詠み手、ひらがなでの読み方、そして現代語訳・口語訳を記載し、歌番号順に一覧にしています。

暗記に役立つ百人一首一覧


原文

しのぶれど 色に出でにけり わが恋は ものや思ふと 人の問ふまで


ひらがなでの読み方

しのぶれど いろにいでにけり わがこひは ものやおもふと ひとのとふまで



現代語訳

人目につかないように隠していましたが、(とうとう)顔に出てしまいました、私の恋は。「何か物思いをしているのですか」、と人が尋ねるまでに。


解説・鑑賞のしかた

この歌の詠み手は、平兼盛(たいら の かねもり)です。平安時代を代表する歌人で「拾遺和歌集」や「後拾遺和歌集」に歌が収録されています。

この歌は、960年に開かれた天徳内裏歌合(てんとくだいりうたあわせ)において詠まれたもので、壬生忠見(みぶ の ただみ)が詠んだ歌「恋すてふ 我が名はまだき 立ちにけり 人知れずこそ 思ひそめしか」に勝利したものです。


沙石集ではこの歌合について言及する箇所があり、歌合に負けた壬生忠見が、あまりのショックで体調を崩し、死んでしまったという話が見られます。(真意は不明)
沙石集『歌ゆえに命を失ふ事(天徳の御歌合のとき〜)』の現代語訳


主な技法・単語・文法解説

倒置法

「我が恋」が主語の倒置法となっています。


係り結び

や思ふ「や」(係助詞)⇒「思ふ」(ハ行四段活用「おもふ」の連体形)が係り結び。



句切れ

二句切れ、三句切れ。


品詞分解

※名詞は省略しています。



しのぶれバ行上二段活用「しのぶ」の已然形
接続助詞
格助詞
出でダ行下二段活用「いづ」の連用形
完了の助動詞「ぬ」の「連用形
けり詠嘆の助動詞「けり」の終止形
代名詞
格助詞
係助詞
もの
係助詞
思ふハ行四段活用「おもふ」の連体形
格助詞
格助詞
問ふハ行四段活用「とふ」の連体形
まで副助詞



著者情報:走るメロスはこんな人

学生時代より古典の魅力に取り憑かれ、社会人になった今でも休日には古典を読み漁ける古典好き。特に1000年以上前の文化や風俗をうかがい知ることができる平安時代文学がお気に入り。作成したテキストの総ページビュー数は1,6億回を超える。好きなフレーズは「頃は二月(にうゎんがつ)」や「月日は百代の過客(くゎかく)にして」といった癖のあるやつ。早稲田大学卒業。

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