「日ごろ破り残して御身も放たず御覧じける」の現代語訳・口語訳・意味・品詞分解・敬意の向き
原文
「わが出家は成就するなりけり。」と仰せられて、
歩み出でさせ給ふほどに、弘徽殿の女御の御文の、日ごろ破り残して御身も放たず御覧じけるを思し召し出でて...
現代語訳・口語訳・意味
「私の出家は成し遂げられるのだなあ。」と仰られて、歩いてお出になるときに、(花山天皇は)弘徽殿の女御のお手紙で、
普段破り捨てずに残して、肌身離さずご覧になっていたものをお思い出しになって...
品詞分解
| 単語 | 品詞 | 敬意の向き |
| 日ごろ | 名詞 | ー |
| 破り残し | サ行四段活用「やりのこす」の連用形。「破る」と「残す」の連語 | ー |
| て | 接続助詞 | ー |
| 御身 | ー | ー |
| も | 係助詞 | ー |
| 放た | タ行四段活用「はなつ」の未然形 | ー |
| ず | 打消の助動詞「ず」の連用形 | ー |
| 御覧じ | 「見る」の尊敬語。サ行変格活用「ごらんず」の連用形 | 語り手→花山天皇 |
| ける | 過去の助動詞「けり」の連体形 | ー |
主な出典
【大鏡「花山院の出家」】
さやけき影を、まばゆく思し召しつるほどに、月の顔にむら雲のかかりて、少し暗がりゆきければ、「わが出家は成就するなりけり。」と仰せられて、歩み出でさせ給ふほどに、弘徽殿の女御の御文の、日ごろ破り残して御身も放たず御覧じけるを思し召し出でて、「しばし。」とて、取りに入りおはしましけるほどぞかし、粟田殿の、「いかにかくは思し召しならせおはしましぬるぞ。ただ今過ぎば、おのづから障りも出でまうで来なむ。」と、そら泣きし給ひけるは。