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9_80 文章の読み解き / 文章の読み解き

百人一首62『夜をこめて鳥のそら音ははかるともよに逢坂の関は許さじ』現代語訳と解説(掛詞など)

著者名: 走るメロス
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百人一首(62)清少納言/歌の意味と読み、現代語訳、単語、品詞分解、覚え方

夜をこめて 鳥のそら音は はかるとも よに逢坂の 関は許さじ


このテキストでは、百人一首に収録されている歌「夜をこめて鳥のそら音ははかるともよに逢坂の関は許さじ」のわかりやすい現代語訳・口語訳と解説(掛詞など)、歌が詠まれた背景や意味、そして品詞分解を記しています。この歌は、百人一首の他に後拾遺和歌集にも収録されています。



百人一首とは

百人一首は、平安時代末期から鎌倉時代初期にかけて活動した公家・藤原定家が選んだ和歌集です。100人の歌人の和歌を、1人につき1首ずつ選んで作られています。百人一首と言われれば一般的にこの和歌集のことを指し、小倉百人一首(おぐらひゃくにんいっしゅ)とも呼ばれます。


暗記に役立つ百人一首一覧

以下のテキストでは、暗記に役立つよう、それぞれの歌に番号、詠み手、ひらがなでの読み方、そして現代語訳・口語訳を記載し、歌番号順に一覧にしています。

暗記に役立つ百人一首一覧


原文

(※1)夜をこめて (※2)鳥のそら音はかるとも よに(※3)逢坂の 関は許さじ


ひらがなでの読み方

よをこめて とりのそらねは はかるとも よにあふさかの せきはゆるさじ



現代語訳

夜が明けないうちに、鶏の鳴きまねをしてだまそうとしても、(あの函谷関ならまだしも)逢坂の関は決して(通ることを)許さないでしょう。


解説・鑑賞のしかた

この歌の詠み手は、枕草子の著者清少納言(せい しょうなごん)です。この句は枕草子136段にもみることができます。

枕草子には次のように書かれています。清少納言と藤原行成は夜更けまで語り合っていたのですが、行成は用事があるといって帰ってしまいました。翌朝になって「本当は明け方まで昔話でもしていたかったのですが、鶏の声にせかされたので」と言い訳の手紙をよこしてきたので、清少納言は「鶏の声とは言っても、孟嘗君の話に出てくる偽の鶏の鳴き声のことだったのではなくて?」と返事をします。これに対して行成は「違う違う。あれは函谷関の話だけど、私が開けたいのは逢坂の関ですよ。」と弁明しました。それに対して詠んだのがこの歌です。

「函谷関は鶏の鳴きまねで開けることができたのでしょうけど、逢坂の関は開かないでしょうよ(あなたとは逢ってはあげませんよ)」と機知に富んだ返しをしています。


主な技法・単語・文法解説

単語・文法解説

(※1)夜をこむ「こむ」は「中に入れる、閉じ込める」といった意味がある。ここでは「夜をこめて」を「夜が明けないうちに」と訳す
(※2)鳥のそら音鳥とは鶏のこと。中国の故事鶏鳴狗盗に登場する孟嘗君の話を踏襲している



(※3)掛詞

「掛詞」とは、ひとつの言葉に2つ以上の意味を重ねて表現内容を豊かにする技法のこと。この歌では「逢坂」が、「逢坂」(地名)と「逢ふ」を表す掛詞。


句切れ

句切れなし。


品詞分解

※名詞は省略しています。



格助詞
こめマ行下二段活用「こむ」の連用形
接続助詞
格助詞
そら音
係助詞
はかるラ行四段活用「はかる」の終止形
とも接続助詞
よに副詞
逢坂
格助詞
係助詞
許さサ行四段活用「ゆるす」の未然形
打消推量の助動詞「じ」の終止形



著者情報:走るメロスはこんな人

学生時代より古典の魅力に取り憑かれ、社会人になった今でも休日には古典を読み漁ける古典好き。特に1000年以上前の文化や風俗をうかがい知ることができる平安時代文学がお気に入り。作成したテキストの総ページビュー数は1,6億回を超える。好きなフレーズは「頃は二月(にうゎんがつ)」や「月日は百代の過客(くゎかく)にして」といった癖のあるやつ。早稲田大学卒業。
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全訳読解古語辞典 第四版 三省堂
ベネッセ全訳古語辞典 改訂版 Benesse

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