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アフロアジア語族 世界史用語87

著者名: ピアソラ
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アフロアジア語族

アフロアジア語族とは、アフリカ大陸の北部、アラビア半島、西アジアの一部の島々や隣接地域で話されている約400の言語の共通の起源を持つ言語の集まりです。アフロアジア語族の話者は約2億5千万人で、世界の言語の中でもインド・ヨーロッパ語族、シナ・チベット語族、ニジェール・コンゴ語族に次いで第4位の規模を誇ります。アフロアジア語族の言語の中でも、アラビア語は約3億人の話者を持ち、最も広く話されている言語です。他にも、ハウサ語、アムハラ語、オロモ語、ソマリ語など、数千万人の話者を持つ言語があります。アフロアジア語族の言語は、セム語派、ベルベル語派、エジプト語派、クシ語派、オモ語派、チャド語派の6つの枝に分けられます。



アフロアジア語族の言語の共通の祖先である原アフロアジア語は非常に古く、紀元前1万5千年から1万年頃に話されていたと推定されています。 原アフロアジア語の故郷はどこかという問題には、学者の間で一致した見解はありません。しかし、ほとんどの学者は、アフリカの北東部、例えばアフリカの角、エジプト、東サハラなどが有力な候補であると考えています。一方で、レバント地方が原アフロアジア語の故郷であると主張する学者も少数ながら存在します。 アフロアジア語族の比較研究は、その枝の間での文献の存在度に大きな差があることによって困難になっています。セム語派やエジプト語派は紀元前4千年紀から書き言葉として残されていますが、ベルベル語派、クシ語派、オモ語派の言語は19世紀や20世紀まで記録されなかったものが多いのです。

アフロアジア語族の言語は、音韻論、形態論、語彙においていくつかの共通点を持っています。音韻論的には、子音の対立が豊富で、特に摩擦音や破裂音が多く、声門音や咽頭音などの特殊な音も存在します。また、母音の長短の対立や強勢の位置にも意味があります。形態論的には、語根と語形素という2つの基本的な単位があります。語根は通常3つの子音からなり、その間に母音が挿入されることで語形素が作られます。語形素は名詞や動詞などの品詞を表します。語形素には接頭辞や接尾辞が付加されることで、性、数、格、時制、法、相などの文法的な情報が示されます。語彙においては、アフロアジア語族の言語の間で共通の語根を持つ単語が多数見られます。例えば、セム語派のアラビア語の「アブ」(父)、ヘブライ語の「アブ」(父)、ベルベル語派のタマジクト語の「アバ」(父)、エジプト語派の古代エジプト語の「イト」(父)、クシ語派のソマリ語の「アーブ」(父)、オモ語派のガラ語の「アバ」(父)、チャド語派のハウサ語の「ウバ」(父)などがあります。

アフロアジア語族の言語は、人類の歴史や文化において重要な役割を果たしてきました。古代エジプト語は、世界最古の文明のひとつである古代エジプトの言語であり、ヒエログリフやヒエラティック、デモティックなどの文字で書かれました。 セム語派の言語は、ユダヤ教やキリスト教、イスラム教などの世界宗教の聖典や祈りの言語として用いられました。 ベルベル語派の言語は、アフリカの北部やサハラ地域の先住民であるベルベル人の言語であり、独自の文字であるティフィナグ文字で書かれました。 クシ語派の言語は、アフリカの角や東部、南部の地域で話されており、オロモ語やソマリ語などは独立した国家の公用語となっています。 オモ語派の言語は、エチオピアやエリトリアの南西部で話されており、アフロアジア語族の中でも最も多様性が高いとされています。 チャド語派の言語は、アフリカの中央や西部で話されており、ハウサ語は西アフリカのリンガ・フランカとして広く通じています。
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・アフロアジア語族 世界史用語87

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『世界史B 用語集』 山川出版社

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