旧石器時代とは
旧石器時代とは、人類が石を打ち欠いて道具を作り始めた時代から、農耕や牧畜が始まるまでの時代を指します。旧石器時代は、約260万年前から約1万年前までの長い期間にわたり、人類の進化や文化の発展に重要な役割を果たしました。旧石器時代は、一般に、
前期、中期、後期の3つに分けられますが、地域や文化によって時期や特徴は異なります。
まず、旧石器時代の定義について見てみましょう。旧石器時代という用語は、1865年に考古学者のジョン・ラバックによって造られました。ギリシャ語の(palaios, 古い)と(lithos, 石)から成り立っており、「石の古い時代」という意味です。旧石器時代は、石器時代の初期・前期にあたり、石器時代とは、人類が石を使って道具を作った時代の総称です。旧石器時代は、石器の出現から農耕の開始までの時代をさすとされてきましたが、近年では、石器の出現よりも古い時代にも道具を作っていた可能性が指摘されています。2015年には、ケニアのトゥルカナ湖近くの乾いた川床で、約330万年前の岩石に埋まった原始的な石器が発見されました。この石器は、ホモ属の最古の化石よりも約100万年古く、道具作りはアウストラロピテクスやその仲間たちによって始められた可能性があることを示唆しています。この発見により、旧石器時代の始まりを再評価する必要があると考えられています。
旧石器時代の時期
次に、旧石器時代の時期について見てみましょう。旧石器時代は、約260万年前から約1万年前までの約250万年にわたる長い時代ですが、その間にも人類は進化し、環境も変化しました。そのため、旧石器時代は、一般に、前期、中期、後期の3つに分けられますが、これらの区分は厳密なものではなく、地域や文化によって異なります。以下に、各時期の大まかな特徴を示します。
前期旧石器時代(約260万年前~約30万年前):この時期には、ホモ=ハビリスやホモ=エレクトスなどの原人類が登場し、打製石器と呼ばれる石や動物の骨を打ち欠いた簡単な道具を作りました。最初の石器文化はオルドワン文化と呼ばれ、約260万年前から約180万年前まで続きました。オルドワン文化の石器は、主に石の欠片や丸い石で、ナイフやハンマーとして使われました。オルドワン文化に続いて、約170万年前から約10万年前までアシュール文化が発展しました。アシュール文化の石器は、手斧や刃物などのより洗練された形を持ち、狩猟や植物の採集に役立ちました。この時期の人類は、主にアフリカやユーラシアの熱帯や亜熱帯の地域に住み、火の利用や洞穴の居住などの技術を身につけました。