伊勢物語『芥川』のあらすじをわかりやすく解説
このテキストでは、
伊勢物語の一節『
すける物思ひ』(
昔、若き男、けしうはあらぬ女を思ひけり〜)の内容・あらすじとポイントを記しています。
ポイント・要点
・ある男が、身分の高い女性を連れて逃げ出したのですが、雨宿りをしていた蔵で、女性は鬼に食べられて消えてしまいました。
・男性は嘆き悲しみますが、そこにある感情は「しっかりと女性を守るべきだった」や「女性を盗み出すべきではなかった」といったものではなく、「女性を失う悲しみにくれる前に死んでしまうべきだった」というもの。
内容
昔ある男性が、自分とは身分の釣り合わない女性をやっとのことで盗み出して、芥川のほとりまで連れ出しました。川のほとりに生えていた草の「露」を見た女性は「あれは何ですか?」と男性に尋ねます。「露」を知らないほど、女性は家の中で大切に育てられていたのです。
道中雷雨が激しくなってきたので、男性は女性を荒れ果てた蔵に避難させ、自分は戸口に立って番をしていました。ところが、早く夜があけてほしいと願う男性の気持ちとはうらはらに、鬼が現れて女性を一口で食べてしったのです。女性の悲鳴は雷雨で聞こえませんでした。夜が明けて女性がいないことに気がついた男性は、地団駄をして泣き悲しみ、
「(あの露は)真珠ですか、何ですか」と(あの人が)尋ねたときに、「(あれは)露だよ」と答えて、(その露が消えるように私も)死んでしまえばよかったのに。
と歌を詠んだのです。
連れ出された女性は、後に天皇家に嫁ぐような高貴な人でした。女性の美しさにひかれた男性は、女性を背負って盗み出したのですが、結局、女性の兄2人に引き止められ、女性を取り返されることとなりました。文中の「鬼」は、女性を取り返しに来た追手を例えていると考えられます。
詳しい現代語訳、解説と品詞分解
■現代語訳・口語訳とその解説
伊勢物語『芥川』の現代語訳と解説
■品詞分解
伊勢物語『芥川』の品詞分解(助動詞など)
著者情報:走るメロスはこんな人
学生時代より古典の魅力に取り憑かれ、社会人になった今でも休日には古典を読み漁ける古典好き。特に1000年以上前の文化や風俗をうかがい知ることができる平安時代文学がお気に入り。作成したテキストの総ページビュー数は1,6億回を超える。好きなフレーズは「頃は二月(にうゎんがつ)」や「月日は百代の過客(くゎかく)にして」といった癖のあるやつ。早稲田大学卒業。